□一難去ってまた一難
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「……痛い」

「…あ?」




グリムジョーとキスすると丁度 仮面が私の左頬に当たる

よく見れば少し赤くなっていた。




「それ外せないのー?」

「外せる訳ねぇだろ、バカかお前は」

「私みたいに仮面が付いてなかったら良かったのにね」




ヒリヒリと地味に痛む頬を手でさすりながら グリムジョーを見上げた

当の本人はバツの悪そうな表情で私を見下していた

こういう時に身長差が激しいのだと 改めて思う。




「…しょうがねぇだろ」

「あ、拗ねた?」

「拗ねてねぇ」

「嘘、グリムジョー拗ねると目ェ細めるクセあるもん」

「…ったく」




誤魔化すように私をひょいっと抱き上げ 自分の膝の上に乗せた

左頬をジーッと見つめると 不意にペロリと舐められた




「……グリムジョーってさぁ」

「あ?」

「舐めれば何でも治ると思ってるでしょ」

「文句あんのか?」

「別にー」




クスッと面白おかしく笑えば グリムジョーはムッと眉を顰めた

それからまたしても 頬を舐め始めた。




「あ」

「…?」

「帰刃したら仮面 頬からなくなるじゃん」

「…しねぇぞ?」

「あ…でも牙とか凄いからそっちの方が今より痛いね」

「聞けよ 人の話を」






  一難去ってまた一難






なんの変哲もない 日常風景。

















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