TOS-R

□彼女には最高の、俺には最悪の伝説。 ☆
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何億回の愛を紡いでも・・・



→彼女には最高の、俺には最悪の伝説。



想いを伝え合った。
キスもした、セックスだってした。

隣で眠るお前が愛しく感じた事に嘘、偽り無い。

前髪を撫でれば、狸寝入りでもしていたのかと思うほどはっきりした眼で「おはよう」と俺の頭を撫でた。
まだ眠気の残っていた俺が、その温かい手に安心して二度寝しようとすれば、「学校!」と酷く慌てて起こしてきた。

そんなお前とのやり取りはすでに過去のもの。
お前はあの勝気な幼馴染の下へと足を急がせる。

そこで俺は、以前彼女の話した『赤い糸の伝説』とやらを嫌と言うほど恨めしく思うのだ。


『私の小指にはね、エミルとの運命の赤い糸が結ばれてるんだよ♪』
『・・・・なんだそれ。』
『うーんと、要するに二人は必ず結ばれる・・・っていう証みたいなものだよ。』
『まだ付き合ってもいねぇだろ。』
『そうだけど・・・。私とエミルが結ばれるのは運命だもん!だから大丈夫♪』
『そんな目に見えねぇモンをよく信じられるな。』
『んー、ラタトスクったら妬いてるの?』
『ばっ、妬いてなんかねぇよ!』


宣言通りに彼女はエミルと結ばれる。
『赤い糸の伝説』の通りに。

何故エミルと結ばれるのが、全てを見せ合った俺ではなくて、友人同然の関係であった彼女なのか。

それがもし、『血縁・同性』なんてくだらない理由によるものだとするなら、エミルと同じ血を流しきって全く違う血を体に取り込みたい。
それでもいけないと言うのなら、性別転換なんかをしたって構わない!


諦めろ・・・と、頭の中で割り切った様な俺が言った。


「好きだよ、愛してます。」
「好きだった・・・だろ。」


切り捨てる溜めに搾り出した言葉に、お前は辛そうな顔をして最後のキスをした。




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