ぷーん、と甘い匂いがした
それは甘いお菓子の匂いではなくて、もっと別の…
「…何ですか、これは」
机の上に置いてあるたんぽぽ
茎からぶちっと千切られたみたいだった、少ししおれかかっている一本の小さな花
「竜崎…外に出ないし、その…たんぽぽ綺麗だなって…見せたくて」
「しかしこのままだと萎れてしまいますよ?」
「あ…そうですよね」
松田さんが慌ててコップに水を入れるとそこにたんぽぽをそっと入れた
「……綺麗ですね」
「もう春ですから」
にへーと微笑む松田
「しかし茎を千切るのはあれですね、次からは根から取ってくれませんか」
「あ…そうします」
そうですか…、もう春だったんですね
キラ事件の事ばかり頭にあって忘れていました
「ありがとうございます、松田さん」
「いえいえ、仕事頑張りましょうね竜崎!」
-終-