ツバサクロニクル
□†薬
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頭が、痛い…
そう呟いて奴はバタリと倒れた
「ファイ!?」
「大丈夫だ、眠ってるだけだな」
ったく、心配掛けやがって
彼は少し頬を赤く染めて息が荒かった
「…部屋で看病するから誰も来んじゃねーぞ」
「えー、モコナも看病するー!」
「駄目よモコちゃん、モコちゃんまで風邪移っちゃう」
「ぷー…」
────────────
奴をベッドに寝かせ、頭の上に水に濡らしたタオルを乗せた
さっきまで荒かった息も今は少し規則正しくなっている
「…くろがね?」
「目ェ醒めたか」
「あれ…何で俺寝てんの?黒りんに襲われたの…?」
「一生寝てろ、…倒れたんだよ熱で」
「風邪か…媚薬かと思った」
「お前はいつも何考えてんだよ!?」
「……内緒」
毛布の端を掴み、グィッと鼻の高さまで上げた奴は少し目を覗かせて俺の顔をジッと見た
「黒りん…」
「何だ?」
「…あり…がと」
恥ずかしそうに言われ俺の身体は熱くなりそうだった
奴は…まだ熱で顔は赤いか
「もうちょっと近くに来て」