ツバサクロニクル

†雨音
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雨が窓に叩きつけられるような音がすごくうるさい

「………」

ふと何かに見られてるような気がした

「………」


シャッとカーテンを開けて下を見ると見覚えのある白い髪の男がいた
…ファイ、彼の名を小さく呟く
奴は傘も差さず雨に濡れている


「黒鋼…」

よく見えないが、そう言っていたような口の動きだ


「…………」

昨日の事を思い出していく
泣きそうな顔の奴

"嫌いなんて言わないでよ…黒鋼"

女みたいな言い方が気に食わなかった

"お願いだから嘘だって言ってよ黒鋼!"


"…別れよう"

喉にずっと引っかかっていた言葉がスッと出た

"別れよう"

"嫌だ…いやだよ黒鋼!"

"ごめんっ…"


俺はその場から逃げ出した、彼を置いて
その彼は今、ずっと立っている
俺を見ている


……ちっ
小さく舌打ちをし、ガラッと窓を半分開けて顔を出した
あまり開けたら雨水が入ってくるなこりゃあ

「入れっ!」

「え…」

「風邪引きてーのか?」

「………」

首を横に振ると俺の部屋に向かった
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