text

□おもちゃの国
2ページ/4ページ






「そんなに困ってるようには見えないけど」

見たところ村の雰囲気は、木の葉の里とさほど変わらないようにも思える。

「まぁ、その内はっきりするだろ。とにかくその森に行って―――」


“ねぇ!”


いつからそこにいたのか、
二人は声がして初めて、そこに少年が立っている事に気が付いた。


「アンタ達忍者だろ?案内してやるよ」

目の前に急に現れた少年は、そう言うなり、テンテンの手を引いて走りだした。

「ちょ、ちょっとキミ!」

「オイ、待て!」


景色は
賑やかな人込みを抜け、段々と山道に入る。


気が付くと、
周りには腰の高さほどもある草が生い茂っていた。

「あっ…!」

先を走っていた少年と繋いでいた手が離れてしまった。

「何なのよ、もう…」

村の明かりが遠い。

随分と走ったせいで
自分が今、どこに立っているのかよく分からない。辺りが暗い為に、少年の姿が全く見えない。
完全に、はぐれてしまったようだ。


「テンテン…!」


背の高い草を掻き分けながら、ネジが自分の元へ来るのが分かる。

「ネジ!」

「…大丈夫か?」

「うん」

恐らく白眼を使って追ってきたのだろう。
ネジの呼吸は、テンテンほど乱れてはいなかった。


「…こっちだ」


辺りは墨をひっくり返したような黒に染まっている。
夜の森では、鬱蒼と生い茂る木々によって、月明かりも遮断される。

しかし、
その中でも、白い眼は目標物を見失うことはない。


―――綱手様はこうなる事を分かっていて、自分とネジを組ませたのかしら―――
どんどん先へ行くネジに必死にしがみ付きながら、テンテンはそんな事を思っていた。


「これは…―――」

急に目の前が明るくなった。
大きな黒い丘が行く手を阻んでいる。

よく見ると―――

「何…コレ」


わずかな月の光に照らされて、なんとかその形を確かめる事ができた。
目の前で行く手を遮るソレは二人にも見覚えのある物ばかりだ。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ