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□心の鍵
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それは鬱蒼と茂った森の中から聞こえていた。
原始的な風景の中で響く金属音が、緊迫した時間を物語っている。
時折聞こえる二つの呼吸音は緊張を帯びていて、お互いの心と気配を感じ取る為神経を研ぎ澄ましていた。
ヒュンッ!
仕掛けたのは姿と気配を消しているテンテンだった。数限りないクナイの雨がネジを襲う。
「八卦掌回天」
それを待っていたかの様にネジは素早くクナイを交わす。
小さく舌打ちをしたテンテンは印を結び巻物から次の攻撃をする為の大きな手裏剣を取り出した。
キンッ
飛んできた最後のクナイを交わし、ネジの動きも止まった。
ネジの周りには何種類もの武器が落ちている、それはまるで鋼の色をした大輪の華のように。
その時、テンテンがひらりと舞った。
片手に大きな手裏剣を持ち、ネジの背後から襲いかかる。その瞬間、ネジは身体をしなやかに捻り一瞬にしてテンテンの懐に入った。
「やばっ!!」
そう小さく呟いた時には、テンテンの身体はネジによって投げ飛ばされていた。
飛ばされたテンテンは茂みへと落ちた。
「痛ったぁい」
茂みの中から聞こえてきたのはそんな声だった。
腰を擦りながら出て来たテンテンは頭に小枝を乗せ服も所々ほつれていた。
「大丈夫か?」
投げ飛ばした本人は傷もなく、茂みへと歩み寄りテンテンに声を掛けた。
「ったく、容赦ないわね」
服についた土を払い、巻物を抱えて立ち上がったテンテンはネジの方へ歩いて来た。
「当たり前だろう、修行だぞ。それより、受け身をもっとしっかりと取らないと次の動作に移る時のロスになるぞ」
「・・・分かってるわよ」
テンテンは悔しそうに呟いた。
「今日はここまでだ、日も暮れる」
「そうね。明日任務もあるし、じゃあね」
テンテンはそう言うと落ちている武器を拾い始めた。
「はぁっ、手入れしないとなぁ」
一つ一つ使った武器を拾い集めている中、一向に消えないもう一つの気配にテンテンは気付いた。
「何やってるの?」
手を止め、まだいるネジに声を掛けた。
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