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□ひととき
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「ネジさあ、髪のびたわよねー」



前までは、今の丁度結び目辺りの長さだっただろうか。
まあ、長いことに変わりはないのだが。



「・・・テンテンはのびているのか、よくわからないな」




彼女の髪型では確かにわからない。
長さを確かめるためか、ネジはテンテンの丁寧に結われた団子に手をかけ、ほどこうとする。
もちろんそんなことは、かなり近づかなければできない。
テンテンはどうしようもなく恥ずかしいこの場を一秒でも早く抜け出したいという思いで、慌ててネジを引き剥がす。






「ちょ、ちょっと!せっかく結ったのに台無しでしょーが!」




ネジはきょとんとした顔でパッと手を離してやる。
一方のテンテンは顔を赤くさせて、ぷうっと頬を膨らませた。






「なんだその顔は・・・ハリセンボンみたいなやつだな」
「な、なんですってー!?」



テンテンはその言葉によってますます膨れ上がる。
だが、その表情はすぐに一変した。




「本当、おかしなやつだよ、お前は」





その理由は、このときのネジのはにかんだ笑顔にあった。
テンテンのことがよほどかわいらしく見えたからだろうか。
テンテンは怒るのも忘れて、そのネジに思わず見惚れてしまったのだ。






「あ、あんたこそ、なんて顔するのよ!」
「は?俺は至って普通だが・・・テンテンのようなハリセンボンになった覚えもないぞ」
「―――っ!バカ!」




そんなテンテンを落ち着かせようと、ネジはテンテンの頭をなでる。
悪くいえば、ごまかした。
そしてネジは、なでていた手をとめて、口を開いた。




「・・・リー、さっきからお前の視線が気になって仕方ないんだが」
「えっリー!?」




ネジが向きを変えて草むらの方を見ると、草むらがガサガサと揺れ、リーがひょいっと顔を覗かせた。




「ははは、偶然君達を見つけたものの、出にくかったもので」




リーは草むらからおもむろに出てくると、微笑ましいといわんばかりに、ネジとテンテンの顔を交互に見た。
ネジはいつも通り冷静な表情であったが、テンテンはボンッと顔を赤くした。




「あんたいつからいたのよ!?」
「えっと・・・テンテンがネジの髪をまじまじと見ていたときでしたっけ」
「最初っからいたんじゃない!」





「ネジもネジで何でもっと早く言ってくれないのよ!」と、テンテンはガミガミと二人に怒鳴りつけた。
ネジとリーは怒鳴られているのにも関わらず、顔を見合わせてフッと笑ったのであった。











「二人して何笑ってんのよ!もう!」




















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