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□賽の目
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気が付くと、そこは灰色の小さな箱の中だった。







*****


「テンテンがいない」


もう木ノ葉は近かった。
怪我人はいない。護衛をしていた依頼人も無事だった。ただ、何かが足りないことに気付くまでそう時間はかからなかった。


「マジかよ」
「ネジ……!」
「まだ安全地帯じゃない。気を抜くな」
「しかし、」


今回の任務は砂と木ノ葉の合同任務だった。
小国の大名達を木ノ葉へ送り届けるものだ。しかし最近の治安の悪さを懸念し、敢えて別ルートで時間をかけることになっていた。
普段なら1週間で行ける距離を、今回は3週間かけるという大掛かりなものだった。


「どうすんだ」
「……」
「オイ、ネジ!」
「待て!今考えてる!」
「考えてる暇なんてねえだろ。任務は砂がやるから、木ノ葉はテンテンを探しに行け」


点呼は取った。依頼人である大名の娘には精神面を考えて事の異変は伝えていない。くノ一が2人話し相手として傍に付いているため問題もない。
娘はその内の1人がテンテンだったことも特に気にしていない様子で、大きな荷車の中で何も知らずに無邪気に笑っている。それが逆にネジの集中力を削いでいるように見えた。


「ネジ、隊に問題はありません」
「ああ、ありがとうリー」
「いえ。……この後の指示は」

「どっちを取るんだ」
「どういう意味だ」
「任務か仲間、どっちを取るのかって意味じゃん」
「ネジ、」
「……勿論、どちらも取る」


連隊は大きく3つに分かれ、先頭は3人、少し距離を置いて護衛人を守るように固めた隊を置き、更にその隊を見張るように四方から感知タイプの忍を配置する形だった。
隊長はネジ、副隊長は砂のカンクロウ。前と後ろを2人で固め、中間部隊も上忍と中忍で固める念の入れようだったにもかかわらず、この結果だ。


「俺とリーだけで行く」
「は?」
「これ以上隊は崩せない。敵の得体が知れないこと、テンテンを捜し出すこと、救出後隊に戻ることを考えると白眼がないと難しい」
「だが2人でなんとかならなかったらどうする」
「なんとかしてみせます!ですよね、ネジ!」
「ああ。リーのスピードも別行動では有難い」


雲行きが怪しい。僅かに雨の匂いがする。ここで降られるとテンテンへの手掛かりが消えてしまう恐れがある。


「なるべく早く戻る」
「……分かった」
「行こう、リー」
「ハイ!」





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