短編

□特別な日を普通に過ごす方法
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「…なんや自分。それ」

「何って…パンプキン?」


特大サイズの南瓜のかぶりものを持って、首を傾げつつお返事。

今日はハロウィン。
悪魔祓いの、ケルトのお祭り。新たな始まりを祝う狂宴。
そして意味が若干変質したこの国においては、呑気なパーティが行われる。



いや、わが学び舎だけか?



「今日は仮装パーティだろ?」

「って事は、その格好する気か?」

「あたぼうよ」


私の手には、ハロウィンを象徴する南瓜のかぶりもの。
勿論偽物で、張りぼて。


「生徒会、こんなものも用意しとったんか…」


見つけて選ぶ自分も変わり者やけどな、と忍足がしげしげと笑う南瓜を見つめながら呆れた口調で切り捨ててくれた。
流石関西人。

ちなみに今日の仮装は全部生徒会が用意した。
生徒はその中から好きなものを選ぶ。


「という訳で、ばいばい」

「あぁほなさいなら…………ってどうゆう訳やねん!話繋がってないやん!」


素晴らしきノリツッコミ精神。

最高だ。友人としては。


「ん、眠いし面倒臭いし出たくないので。これかぶってさぼります」

「いや、女の子としてそれはどうなん?」

「だから借りて来ました」


私はもう一つ紙袋を置く。
中に入っているのは男子用のブレザー一式。



完璧じゃん、私。


元々おめめぱっちり、睫毛長い、桃色の頬なんて女顔ではない私なら、違和感は少ないだろう。


「……」


微妙そうな顔付きで沈黙した忍足をそのまま放って、私は裏庭へと逃亡する事にした。
張りぼてパンプキンを小脇に抱えながら。



待ってろ、お昼寝タイム!

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