その他夢

□if 三国平定
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三国は三人の君主のもとに平定された。


呉軍、呂蒙の傍らにはあの戦将と唄われた神威がいた。蜀と魏の将はあれが呂蒙の副官かと遠巻きに見ていた。
今日より七日間は呉が蜀と魏をもてなす。国をまるっと空けるわけもいかないので、君主の留守を担う将は来ないのだが、それでも多くの将となにより君主が来るため呉の人間はあちらこちらに走っていた。
「あれが、神威か…」
曹操は傍らの于禁と夏侯惇に問う。
「ああ、そうだ。あいつ一人に何人斬られたことか。…俺の副官も殺られたわ。とんだ女だぞ」
その今にも斬りかかりそうな忌々しげな夏侯惇の物言いに、曹操は何も言うまいと頷くだけにした。悪態をつかれた当の神威は呂蒙に何かを指示され嫌そうに顔を歪めている。呂蒙が行ってしまうと、神威はつかつかと歩き城の城壁に添って生える背の高い草の中を蹴り上げた。
「っい!!!!」
飛び出したのは呉の甘寧だ。
「てめぇ、顎にいれるこたぁねぇだろ!!」
神威はため息をついて腕を組む。
「たまたま顎があったんだ」
「おまっ、おっさんの副官のくせしやがって…」
「将なら将らしくするんだね。早く執務室に戻りなさい」
言い返せずに睨み付ける甘寧。
「なんだ甘寧!そこにいたのか!」
「げっ、おっさん!」
全くとやって来ながらふいに視線をやり姿勢を正す呂蒙。
「っ!これは、とんだお恥ずかしい所を…」
呂蒙は少し遠くに佇む曹操達に慌てて拱手すると、未だ神威を睨み付けている甘寧の頭を殴り付けた。神威は涼しい顔で上官に習い拱手する。
「良い。…して、お前が神威か?」
つかつかと歩み寄る曹操。それに付き従う于禁と夏侯惇。神威は呂蒙に指示され前に出ると、拱手のまま頭を下げた。
「はっ。恐れながら、呂蒙将軍副官の神威にございます、魏王曹操様」
「うむ。お主には夏侯惇も于禁も大分苦しめられたようだが」
それに神威の身体が強張る。曹操は良いのだと声をかけ顔を上げる様に促した。良い目をしている。
「良い副官を持ったな、呂蒙よ」
「あ、はい」
「儂も多くの戦場に赴いたが、お主は女将には珍しい、類い稀なる豪の者よ。その力、これからの世で生かせると良いな」
「そうなれるように、努めます」
大きく出ず、謙虚でもあるか。
満足げに頷き、神威の肩を叩くと、時に孫堅はどこだと呂蒙に問う。そのやりとりの間、随分と夏侯惇と于禁の視線が無遠慮に突き刺さった。
「あ、あの。…夏侯大将軍様、于大将軍様、何か…」
「いや、別に…」
「む。何でもない、気にするな」
「はあ…」
「時に神威、孫権はどこに…」
「孫権様でしたら宴の間に。あ、ご案内いたしましょうか?」
「助かる」
夏侯惇は曹操のもとに残るようで、踵を返した神威について来たのは于禁だけだった。
「…夏侯惇殿のことは気にするな」
「え?あ…」
「お前に、目をかけていた副官を殺されたのだ。だが、戦場に出ればそれは致し方がないこと」
「左様でございましたか」
それに少ししゅんっとなった神威の背中。数が多くどの兵の事を言っているのか全くわからないが。
「私は…殺めてばかりおります。何かを生み出したり、育む才はもっておりません。ですから、先程曹操様がおっしゃったように、自分の才をこの後、生かせる自信がないのです」
「それは、私とて同じ事だ。ここに集った多くの将も似たようなことを考えているだろうな」
ふっと于禁が笑みを漏らした様に思えたが、何分背が高い御仁だ。ただ、言葉の尻がとても優しい様には思えたのだった。
広間で于禁を見つけた孫権は嬉しそうにこちらにやってきた。途中まで来て神威を認めると、やってしまったというような顔をするものだから、神威は特に何も言わず笑みを浮かべ拱手すると下がった。

「呂蒙様」
甘寧は早々に逃げたらしい。代わりに、陸遜と凌統が呂蒙の手伝いをしていたようだ。
「陸遜様、陵統様!私がいたします」
慌てて二人の手の中の荷物を預かろうとするが断られた。
「良いのですよ、神威」
「そうだぜ。俺達何せ暇だからな。甘寧の馬鹿はどっかに行っちまったし」
「良い、神威。于禁殿は送れたのか」
「はい。広間にお連れしました、呂蒙様」
「そうか。…神威、悪いんだがその甘寧を連れてきてくれないか」
「はい、承知いたしました」
失礼しますと頭を下げて神威は甘寧を探しに城内を駆け回ることとなった。


宴に副官は出席しない。盛大だという噂と、ちらりと目に止まった料理に生唾を飲み込んだに終わった。出席はしないのだが、神威はいつも宴の時は呂蒙の迎えに訪れていた。ただし、扉の中には決して入らない。時間をみて広間の扉へと続く廊下の欄干に腰かけて待つのだ。
今日も、自分は城下で夕食を終わらせ、呂蒙に頼まれていた文章をしたためるといつもの場所で彼を待った。
「…何をしている…」
声をかけられ振り返るとそれは夏侯惇で、ずいぶん飲んだのだろう。松栄に照らされたその目は座っていた。
「夏侯惇様」
慌てて拱手をする神威に、ああ、お前かと言葉を漏らした。
「呂蒙の迎えか」
「はい。左様にございます」
「ふんっ。あいつは、今しばらくここを離れられないだろうな。…神威、悪いが俺の部屋に案内してくれないか?あまり道を覚えていない」
「あ、はい!承知いたしました」
事前に客将の部屋は知らされていた。
「すまんな」
ゆったりと自分の後を付いてくる夏侯惇。置き去りにしてしまわないようその足音に注意を払い歩みを進めた。
夏侯惇は部屋の灯りを灯して欲しいと願い、神威を中に入れると後ろ手で静かに扉を閉めた。灯り種を消して、出来ましたと振り返った神威を乱暴に寝台に押し倒すと、声を出すなと短刀をその頬に突き付け笑ったのだった。

「鳴け!ちゃんと鳴けよ!!」
「あっ、うぅ…夏侯惇様っ、」
夏侯惇は神威の顎を乱暴に掴み、ぐいっと上を向かせた。ギリギリと顎が軋む程の力だ。
「止めて欲しければ、綺麗に鳴いてみせろ。…ああ…だが、鳴きすぎれば人が来るな」
クツクツと意地の悪いことを言う。
ろくに慣らしもせず、夏侯惇はいきり立つ己で神威のそこを指し貫いた。
「っ!!!」
「キツいなっ。濡れていないのか?」
濡れるだと。そんなこと有るわけがない。だが、ゆっくりとした夏侯惇の腰つきに次第に防衛本能からか愛液が溢れてくる。夏侯惇は神威の耳元で売女のが似合いだなと囁くと、抗議しようとするその口に齧り付き、ガチガチと歯がなるような荒い口付けをする。
「…ああっ…か、かこっ…はあっ!」
「もっと綺麗に鳴け。お前に殺された俺の女は、もっと美しく鳴いたぞ」
腰を掴み逃げられないように押さえ付けると、荒々しく憎しみをぶつけるように神威の身体を犯していく。ただの人形だ。欲をぶつける人形。
最早神威は抵抗せずに、綺麗に鳴けと言われた命令に従う様に嬌声を上げる。そして、夏侯惇を見つめ哀れんでいる様な何とも言えない視線を向けるのだ。それが非常に腹立たしく、もうどうにでもなれば良いと、ただ自分が気持ち良くなるためだけに彼女の身体を組み敷いた。
「やっ、ああ…んっ!っはぁ」
やがて、己が限界に達すると分かると夏侯惇はより深くを貫いた。
「…ああっ、中でもっ構わんな?」
「そんなっ…」
その苦痛に歪んだ表情が気持ち良い。
「意味がわかるのだな?」
尚更愉快だ。夏侯惇はニヤッと笑って神威の肩を押さえ付けた。
「ああっ!…くっ出すぞっ!!!」
深く貫いたまま、神威は身動きがとれない。
「あっ、止めっ…!!!」
ああっと腰を掴んだ手に力が込められ、夏侯惇は神威の中にその熱を吐き出した。どくん、どくんとその感覚が神威にも伝わって、甘美と絶望が一気に押し寄せる。
はあっと息を吐き出すと、夏侯惇は自身を引き抜いた。そして、寝台を汚す鮮血を見て声を上げて笑ったのだ。
「なんだ、呂蒙にならされていたかと思ったが…お前、生娘か?」
「っ!!」
「…舐めろ。お前の血で汚れたわ」
口元に押し付けられたそれに神威は舌を這わせた。てらてらと光っているのは自分のそれのせいで、鉄のきつい味が口内に広がる。
「…下手だなっ!」
神威の後頭部を押さえつけ、腰を深く打ち付けるとううっと苦しそうな声が漏れ、喉がぎゅっとしまる。それを幾度か繰り返すと夏侯惇は神威を解放した。嗚咽を漏らし咳き込む神威の短髪を握りしめると、再び目の前に腹まで反り返った自身を突き付けた。
「今度は上手くやれ。歯はたてるなよ」
神威は夏侯惇のそれを両手で包むと、先走り液の溢れる先端を口に含み、舌を滑らせる。やがて、亀頭に添って舌を這わせると、夏侯惇は感嘆の声を漏らした。
「もう一度だっ…」
夏侯惇は神威の体をうつ伏せにすると、その腰を高く突き出させ、足を開かせた。その間に身体を納めると、二、三度再び盛るそれで秘部を撫で、一気に再奥を指し貫いたのだ。
ああっと神威の息が詰まり痛みで身体が強張るのが分かる。だが、夏侯惇のそれは止まらない。ただの玩具だと意識させられる様な情のない行為に、痛みと羞恥に神威はううっと呻き、嗚咽を微かに漏らした。
「…ええい、泣くな鬱陶しい!!」
怒りを買ったのかそこからは本当にどんな感覚も殺されたかの様だった。腰が下がれば叩かれ、伸ばされた手で握りしめるように胸をまさぐられた。痛みに声を上げると、乳首をつねあげられ、夏侯惇はそのせいで膣が締め付けられる感覚に喜んだ。
二度目のそれも身体の深くに注がれた。ああっという男の声が漏れると引き抜かれ、支えを無くした腰は寝台に落ちた。躯のように体を投げ出し、荒く息をつくその姿を見下ろして、それでも治まらない感情に苛苛する。
「おい。起きろ…」
神威は身体を震わせながら両腕で上半身を支えようとするが上手くいかず、腰だけが高く上がってしまった。
「なんだ。…よし、次はここもしてやろう…神威」
後孔に指を当て、それを追うように舌を這わせると、神威は、ああっと声を上げびくんっと身体を震わせた。
「そろそろ、宴も終わるだろう」
夏侯惇はぼうっとする神威に早く衣服を整える様に言う。おぼつかない手付きで服を着る神威を、離れた椅子から良い気味だと眺め笑っていた。
立ち上がれば先程の熱が太ももを伝い、下着と下履きを汚す。神威が小さく声を上げたものだから、今度は愉快だと夏侯惇は更に笑った。
「そのまま、呂蒙の迎えにでも行ってやれ」
扉を開けると回廊に追い出された。
まだ頭がぼうっとするし、体の奥が痛い。足の間に何かが挟まっている様な感覚もある。だが、心配をかける訳にはいかない。運良く誰もいない回廊を歩き、まだ灯りのある広間へと足早に向かった。
「ん、おお!神威。待ってくれていたのか…」
丁度、顔を赤くし酒の臭いを纏った呂蒙が出てきた。
「呂蒙様、あの…」
広間から漏れる明かりに照らされた顔は少し赤い。
「寝ておったのか?」
「す、すみませんっ!」
「いや、構わん。疲れたのだろう。来させて悪かったな」
頭に乗せられたその手の温かみに泣きそうになるのを堪えるが、声は涙ぐんでしまった。すみませんという声が震えていて、呂蒙も神威も驚いた。
「っ、な、泣かんでも良い」
「あーあ。おっさん、神威のこと泣かしたー」
けけけっと笑いながら呂蒙の後ろから覗き込んできたのは甘寧だ。
「おまっ、馬鹿を言うな!…神威、すまなかったな」
「ち、違いますっ!呂蒙様のせいじゃなくて…私っ…」
後からその騒ぎを覗きこんだ陸遜と陵統は、何かおかしいと思いつつも未だにケラケラ笑う甘寧を睨み付けた。後ろの楽進と李典もどうしたんだよと不思議そうだ。
「呂蒙さん、神威のこと送ってやったら?ほら、甘寧行くぞ!!」
「神威、温かいお茶でもどうぞ」
陸遜はすかさず湯飲みを渡し、李典達の背中を押すと、甘寧と陵統等の後を追った。
「…何があった…」
茶をゆっくり飲む神威の背中を落ち着かせようと撫でる。
「何でもないです…」
困ったとため息をつく。酔いもさめてしまった。呂蒙は取り合えず部屋まで送ると、神威の隣を歩いた。
「呂蒙様…」
「どうした?」
部屋の前まで来ると神威は呂蒙に向き直り、おずおずと彼のその手を掴むと自分の頭に置いた。
「もう一度、撫でていただけませんか?」
「構わんが。…本当にどうした?」
こんなことはついぞなかった。撫でてくれているその手をそのままに、神威は呂蒙に抱き付いた。
「っ!」
行き場を無くした手が宙で止まる。抱き付いた拍子に香ったその香は神威のものではない。それに気が付いた時には神威は身体を離し、おやすみなさいませと頭を下げ部屋に消えていた。
「…神威…」
三国平定。早々に波風を立たせるわけにもいかない。だが、多分。自分なら気がついてくれるだろうという神威の思惑も捨て置けない。神威のことは気に掛けよう。呂蒙は、邸へと兵士もつけずに引き揚げていった。
その後夏侯惇が帰国するまで、神威は彼の気まぐれで蹂躙されることとなったのだ。
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