乱世[短編]
□好きの意
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それから数日。
元親は我の前には姿を現さなかった。
まだ我の言ったことを引きずっているのか。馬鹿馬鹿しい。
あんな一言で奴は来なくなるのか。
嗚呼、静かだ。
心地よい静けさ。
我は窓辺に寄り、遠方からせせらう波音に耳を傾けた。
何かが足りない。
どうしてだか落ち着かない。
我はどうしてしまったのだろうか。
この静けさが不安を誘う。
何故?
あの、いつもうるさい聞き慣れた声が聞こえないからか?
何を根拠に…。
きっと疲れているのだな。
今宵はもう、眠りにつくとしよう。
翌朝にはすっかり気分も晴れているに違いない。