乱世[短編]

□好きの意
2ページ/8ページ

 
 それから数日。

 元親は我の前には姿を現さなかった。

 まだ我の言ったことを引きずっているのか。馬鹿馬鹿しい。

 あんな一言で奴は来なくなるのか。

 嗚呼、静かだ。

 心地よい静けさ。

 我は窓辺に寄り、遠方からせせらう波音に耳を傾けた。










 何かが足りない。

 どうしてだか落ち着かない。

 我はどうしてしまったのだろうか。

 この静けさが不安を誘う。

 何故?

 あの、いつもうるさい聞き慣れた声が聞こえないからか?

 何を根拠に…。

 きっと疲れているのだな。

 今宵はもう、眠りにつくとしよう。

 翌朝にはすっかり気分も晴れているに違いない。
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ