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□Happy Birthday・・・?
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3月13日。今日は俺が生まれた日だ。俺がこの世に生を受けた記念すべき日。
あいつは・・・祝ってくれるだろうか・・・?
いいや、きっといつも通りの普通の日なのだろう。あいつにとっては。
それが恋人の・・・俺の生まれた日だとしても。
「う゛お゛ぉい゛・・・やっと終わったぜぇ・・・」
いつも通りに任務を終え、澄み切った青空を見つめる。
あいつは今頃、書類でもまとめているんだろう・・・いつも通りに。
「今すぐ・・会いてぇ・・・」
あいつに会いたいという想いを胸に、俺は一人、歩き出す。向かう先は、もちろん愛しいあいつの許へ。
「3月・・13日か・・・・」
確か今日は何かあったはずだ。忘れてはいけない、大切な、何かが。しかし、思い出そうとしても、どうしても思い出せない。
「ちょっとボス〜!」
「あ゛?ルッスーリアか。・・・どうした?」
「どうした、じゃないわよー!!今日、スクアーロの誕生日でしょ!?た・ん・じょ・う・び!!なんで任務に行かせたのよぉ?」
・・・そうか。そうだ・・・。今日はあいつの誕生日だった。だが・・・だから何だ?俺にあのカスを祝えとでもいうのか?
・・・なんの為に?
「ちょっと、ボス聞いてる?恋人なんだから、せめて、そばにいてあげるぐらいしてあげればいいのにっ」
恋人・・・か。あのカスは好きそうだな・・・そのコトバ。
「恋人だったら、一緒にいないといけないのか」
「何言ってるのよ!当たり前じゃない!!普段、イチャつく時間なんてないんだから、こうゆう時こそ、愛を確かめ合わないと!!」
・・・ふん。愛なんてもの、知るか。だが、少しでも祝ってやれば、あいつは・・・喜ぶだろうか・・・?
「だいたい・・・」
「・・・まだあるのか」
「恋人をほったらかしにしてると、ベルちゃんにとられちゃうわよっ!!」
「!?」
「ベルちゃんも物好きよねぇ・・・ボスのスクアーロをとろうなんて♪」
ガタッ
・・・ふざけんな。あいつを俺からとろうってのか?あいつは俺のモンだ。誰かにくれてやるつもりは・・・ねぇ!!
「いってらっしゃーい♪」
「・・・ふん」
バタン・・・
部屋を出て行った彼の瞳にはもう、愛しい人しか映らない。
どこだ、どこだ、どこだ、どこだ!!
おまえは俺のものだ。何年たっても誰かに譲る気はねぇ。
お前は裏切らないと誓った。
お前は一生俺についていくと誓った。
そしてお前は・・・
俺のことが好きだと言った。
その時、俺は初めて知った。人を愛する気持ちを。いや、もしかしたら、俺は知っていたのかもしれない。お前と出会ったあの頃から・・・。
・・・だから。お前なら、少々の我儘なら許してやる。
一緒にいて欲しいのなら、一緒にいてやる。
欲しいモノがあるなら、くれてやる。
お前はきっと今、寂しい思いをしているだろう。お前は俺に祝って欲しいと思いつつも、言われた通りに任務へ行った。
祝って欲しいのなら、いくらでも祝ってやる。だから。
俺のそばから離れないでくれ。
他の奴のところへ行かないでくれ。
もう、あの氷の中のように独りにはなりたくない・・・
独りがつらいと、教えてくれたのは、お前だろう・・・?
「スク・・・アーロ・・・」
「ん?なんだぁ、ボス」
「!?」
「う゛お゛ぉい゛・・・どうしたんだぁ・・・?」
・・・いきなり目の前に出てくんな・・・
「ドカスが」
「う゛お゛ぉい゛!?」
・・・ちょっとした気まぐれだったが・・・案外やってみるもんだな。人の頭を撫でてみたりとか。
「ボッボス・・・どうしたんだぁ?・・・あ、そうだ。あとで、報告書持って」
「来なくていい」
「・・・は?」
「今日の任務は終わりだ。報告書は明日でいい」
「ど・・・どういう風の吹き回しだぁ・・?」
「・・誕生日、だろーが。お前」
「な゛っ!?///」
とりあえず、頭を引きよせ、キスをする。
一体、何ヶ月ぶりだろうか・・・?
「ん゛っ・・・ふぁ・・・っふ・・・・・・はぁ・・・」
長く、深いキスの後、唇が離れると、あいつは顔を赤くさせ俺を見た。
俺はスクアーロをうながし、歩き出した。向かう先は・・・俺の部屋。
ギシ・・・
俺とスクアーロはベットに腰掛けるた。
「ベルフェゴールにそそのかされなかっただろうな?」
「されてねぇ」
その一言を聞いて、俺は、自分でも安心したのが分かった。
俺は、そうか、とだけつぶやき、スクアーロの唇に自分の唇を重ねて、誰にも聞こえないような、小さな声で、
「おめでとう」
と囁いた。スクアーロにそれが、聞き取れたかは分からないが、スクアーロはそれに応えるように、
「好きだぜぇ。ボス」
と言って、微笑んだ。
これからも・・・お前は俺のそばで、笑っていてくれ。
俺が独りにならないように。
いつまでも・・・。
Fin.
→あとがき。