Novel 1st

□めざめるとひとりぼっち
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めざめるとひとりぼっち
狩南




ひとりだけの時間を忙しく生きている
リアルで叶えられなかったこと
現実にしたくて
無くしたもの取り返したくて



「猩ちゃんはサ ナンデ死神になったワケ?」



最近
参加者の間で噂になっている
超難関のクイズを出す同僚に尋ねてみた

好奇心を兼ねた暇つぶし



「そんな事聞いてどうするつもりだ」



聞き返しに疑問符が付かない
尋ねたんじゃなくて
睨みを効かせた威し

大抵の奴らはコレで黙るんだろうけど
残念



「そんな眉間に皺寄せナイデサ 教えてヨ 減るモノじゃ無いンダシ」



飴玉傍ら
にっこり笑って再度試みる
笑顔は子供の警戒心を解くにはイチバン
なんだけど



「はっ!冗談じゃねぇ 自主製作の時間が減っちまう」

「今 仕事中ジャン」

「解ってんならさっさと持ち場に戻れよ」

「アララ そんなコト言って良いノカナ?」



踵を返されたその背中
追う前に腕を掴んで引き止める
ついでに忠告



独りにナルト この間みたいに輪姦されチャウヨ

「ッ…!!」



跳ねて竦んだ肩
見開いた怯えた瞳
掴んだ手に伝わる微かな震え

少しだけ後悔



「(イジメ過ぎタカ?)

 ぇーと…猩ちゃん?」

「…―――」

「しょぅ…!」



らしく無く
小さく動く口唇

怯えた様子に本気で後悔



「猩 ゴメン」



許しは請わない
只 悪いことをしたという気持ち
馬鹿な事を言ったと思う
余計な事を思い出させてしまった



「もぅ いい」



否定も肯定ですらない一言
そこに覇気は無いけれど

後で引き止めなかった事を悔やむ


  ....
じゃあな



気付くには遅すぎた
気付いてすらいなかった
後悔だらけの中

目が覚めると独りぼっち





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