Novel 1st

□ランクE
1ページ/2ページ



がちん、と。
確かにその音を聞いた。
というか響いた。
振動が頭の中に伝わった訳だ。


「「……っ、!」」


口を押さえる。
互いに同じ行動。
何がおこったか、なんて聞くまでもない。


「…勢い余りすぎだ、馬鹿。」


甘い空気が一瞬で崩壊した。

夜の渋谷の公園で二人きりで。
なんとなくそんな感じになって。

気持ちはわかる。
こっちだってそっちだって初めてなはずだったから。

だけど、だけど。
あそこで失敗する事はないんじゃないだろうか。

「…悪い」
「焦りすぎ」
「悪かった」

しゅん、と肩をすくめる彼に、それ以上なにも言えなかった。

唇が触れ合ったのなんてほんとに一瞬だった。
行き過ぎだと気付いたときにはもう遅かった。
触れ合うどころの騒ぎじゃない。
正面衝突の前歯と前歯。
まさか本当にやる奴がいると、は。

まだ痺れの残る唇に触れて小さく笑う。
なんの雰囲気もないけれど、
彼らしい行動、だ。



【ランクE】
―…次はもっとうまくや、る?



→おまけ+後書き
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ