軍人篇

□出撃-群れに囲まれて
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工業の町、インスライに付いた頃は夕方だった


「ここがインスライか」


ルクスはポツリと呟いた

町は所々壊れている

魔物が暴れていた証拠だ


「確かヒスタとベリィナちゃんの故郷だって聞いたぜ?」

「じゃあどうして2人が出撃しないの?」


ゼラが思い出したように言うとマリアは不思議そうにトニーを見た


「大佐なりの気遣いだと思います。魔物に襲われた故郷を見れば冷静ではいられないと判断したんでしょう」


トニーは大佐の性格を分かっているのか、そう答えた

確かにヒスタなら、冷静さを失うであろう状況だと思う


「ねぇ、魔物なんて何処にも見えないけど?」


ロアが珍しく口を開いた
それを聞いてルクス達は辺りを見回す


「そういえば…」

「どういう事?」


何処を見ても魔物の姿は無い

この町にいる軍人に退治されてしまったのだろうか

しかし、それでは本部に要請したのは何故だろうか


「俺、話聞いてくる」

「あっ、ルクス君!」


トニーの静止の声も聞かずにルクスは走り出した

何か知っているであろう町民に話を聞く為に


「あ、あの…」


「何だ?」


ルクスは木材を運んでいた男性に声を掛けた

男性は不思議そうにルクスを見ながら聞き返した


「俺たち、この町で魔物が暴れてるって聞いて来たんですけど」

「ああ。それなら学生が魔物を退治してくれたんだよ」

「学生?」


その話か、というような表情で男性は答えてくれた

いつの間に来ていたのか、ゼラが男性に尋ねた


「そうさ。あれは…ファンレーヌの制服だったかな」

「そうそう。で、魔物を追い払ってくれたり、怪我人の手当をしてくれたりね」


ゼラの質問に別の男性が答えた
それに便乗するように女性が自慢気に話す


「その学生って何者?」

「わたし達も似たようなものでしょ」


マリアの呟きにロアは冷静にツッコミを入れる





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