□恋する僕ら
2ページ/5ページ

「…そういう事」
「ちっ…違うんだ!」
「何が違うの?」
「いや…違わないけど…」


レオナは何も言わずくるりと身を翻して玄関に向かった。


「レッ…レオナ?」
「30分程歩いてくる」
「えっ?」
「八神が気まずいでしょう」
「あ…あぁ。……ごめん」


相変わらずの無表情だがK'はレオナがとても悲しげな顔をしている事に気付いていた。


「……ごめん」
「何故謝るの?」
「いや…何でって言われても…」
「…また後で」



音もなく玄関のドアが閉まると、庵が更衣室から顔を出した。


「K'?どうしたのだ?」
「うっ…ううん。何でもないよ」
「そうか?」
「うん…」
「来い。濡れた髪のままでは風邪をひくぞ」
「…うん」








もぅ3月だと言うのに東京の気温は低い。
マフラーを巻きなおしてレオナは目的もなくただ歩き回る。



「レオナーっ」
「…草薙」


白い息を吐きながら手を軽く振って声をかけ寄ってくる京。


「今から庵んち行く所か?」
「………そぅ」
「じゃあ一緒に行こうぜ」
「試験は…?」
「数学と世界史のテストだけ受けて帰ってきた。ありゃもぅ駄目だわ」
「…また留年するの?」
「痛い所つくなよ。忘れてたのに…」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ