桜の下には…
□傷
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私は部屋の前の廊下に座り月を見上げた
そして、一旦部屋に戻り自分の着物の袖から巾着と笛を出して外に戻りそこに座り笛を吹いた
山南「素晴らしい腕ですね」
「いや」
私は笛を両手で握り締め膝に置いた
山南「止めてしまうのですか?」
「話があるんだろう」
「そうでした」
そう言うと私の隣に座った
「…肩をどうした」
山南「分かるのですか」
「…」
「…どうにも、治りませんで」
「…やろうか?」
「治療を…ですか」
「ああ、荒療治だが、その気があれば」
「…ありがとうございます」
「でも…あんた、羅刹だろう」
「ええ、ですが…いえ、それより、あなたの話です」
「…」