ミニ2
□サンタの買い出し
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12月拍手文
「サンタの買い出し」
(セバスチャン夢)
『わぁ…可愛いっ』
ガラスの向こうにあるテディベアを見ながら言う。毛がふさふさしてて、首にはリボン。頭には帽子がちょこん、と!
そしてあのつぶらな瞳…可愛すぎるっ
「買って差し上げましょうか?」
『え、いいですよ平気です。それより用を済ませましょう、お買い物!』
「はい、ではそうしましょうね」
聞きなれた声に振り向けば、そこにはニコリと微笑むセバスチャンさんがいた。
本日はお屋敷から出て、
セバスチャンさんと二人でロンドンに来ています。ちょっとした買い出しにです。
何せ今月は12月クリスマス。クリスマスと言えばプレゼントですよ!サンタさんからの!
…べ、別に信じてる訳じゃないです。ただ言ってみただけで←
我が英国の場合、クリスマスであろうが関係なく仕事をこなす使用人たちに
雇い主である屋敷の当主は翌日の26日にプレゼントや休暇を与えるという風習があります。
((ちなみに26日のことを、「ボクシングデー」と呼ぶこともあるそうです))
でもまぁ毎日忙しい当家ではお休みなど貰えることはなく、今こうしてプレゼントを選びに来ているわけです。
クリスマス一色に染め上げられた街に右往左往と視線を移動させながら歩く。
『…ファントムハイヴ家のクリスマスって、何か一山来そうですよね…』
「そうですか?まぁ確かに一年中の出費のうち、破損したものの修理にかける金額が一番高いのがこの時期ですけど…」
『ふふ、やっぱり。みんなはりきりそうですもん』
「少しは自重してもらいたいものですよ…」
ハァ、とため息。ハッと気づいた頃にはもう遅い。
セバスチャンさんは酷くげっそりとした顔になっていた。慌ててその力なく垂れた腕を引っ張る。
『早く行きましょう!』とせがむと、何故か彼は急に顔色を良くして
私の腰に腕を回した。
『Σへ!?』
「はぐれませんように、ね?」
『て、手首で十分‥』
「迷子の常習犯が何をおっしゃいますか」
『…』
「ほら、もっと指を絡めて…」
『〜っ』
横に並んでクスクスと耳元で笑う執事さん。さっきのげっそり感は何処へ行ったんですか‥
―腰から腕、手先までその白い手は這い、最後には手袋の上から私の指を絡め取って
セバスチャンさんは満面の笑み。
―皆さん、知っていますか?こうなるとセバスチャンさん、融通がきかなくなるんですよ。
つまり抵抗なんて無意味なんです。お屋敷に勤めて半年以上、みんなの性格は大体わかってきました。
勿論、セバスチャンさんもです。ただ…なかなか慣れませんけど。
顔が赤いまま、諦めモードに突入。されるがままに彼に引き連れられていきました。
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