ミニ2

□Trick or...
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10月拍手文

【Trick or...】セバス夢




あー



やっぱり


この年にもなって


これは


恥ずかしいな…



だけど今日はハロウィン。


少しぐらいはっちゃけても


多目に見てくれるよね…?



よし!そうと決まれば


深呼吸深呼吸‥


っ行くぞ!




―コンコンッ

《ガチャッ》



『せ、セバスチャンさん!Trick or Treatです―…ってあれ?』




うそ、いないや


いると思ってこんな格好して来たのに…今振り絞った勇気は一体ι


どこ行っちゃったのかな?


書斎にはいつもみたいに本があってソファーがあって、でもセバスチャンさんはいなくて


窓際には机があるだけ…ん?


何だろう、あれ




『カボチャ…?』




綺麗に目や口が空けられて、中は空洞になっているカボチャ。ハロウィンには欠かせない
「ジャック・オー・ランタン」だ。




『何でこんな所に…セバスチャンさんがくり貫いたまま放置したとか?』




いや、セバスチャンさんに限ってそんなことないか。




―このカボチャ…



『触っても、いいかな?』



大丈夫だよね?ちょっとぐらい‥




机上でニコニコと笑っているカボチャにそっと手を伸ばす。

と、




―ガタンッ



『Σひっ!』


「…」


『…』


「……」


『か、カボチャさん…?』





―カボチャから体が生えました。


八頭身。しかも、カボチャの身なりは案外しっかりとしており、燕尾服を纏っている。

怪しい表情のそれに見下ろされると、かなりの迫力があった。




「………………クスッ」


『え、(笑った!?)』


「その仮装は…可愛らしいお姿ですね。魔女さん」


『もしかして、セバスチャンさん?』


「ご名答です。ほら」




スポッという音と共にカボチャは首から抜け、新たに(?)ニコリと笑むセバスチャンの顔が露になる。

どうやらカボチャを抉っている最中だった様で、片手にはスプーンが握られていた。




『わー…カボ執事ですね!』


「、非常にコメントがしづらいのですが…」


『ふふ…でもカボチャの執事さんだなんて可愛いです』


「貴女様こそ可愛らしいですよ。魔女のメイドさん?その服はどのようにして調達したのです?」


『ば、罰ゲームで…』


「ほう。それは素晴らしい」




当家企画のハロウィンパーティーのゲームでシエルに負けてしまった彼女は、今こうして魔女の格好をしている。

黒い帽子に黒いブーツ、

黒のワンピースタイプのドレスに

さらに黒いマントを纏う…

何かを考える仕種をしつつ、彼はじっとその光景を見ていた。




『…なんでしょう?』


「…(スッ)」


『あっ(帽子…)』


「少し、お借りしますね」


『え?ちょ…っ!』




黒とは対称的な白い手袋がどんどん身ぐるみを剥がす。

気づいた時にはワンピース一枚になっていた。




『な、何するんですか!』


「せっかくのハロウィンですし、」


『は?』


「私もちょっとしたイタズラを、と思いまして」


『マントを羽織って?魔法使いさんですか?』


「いえ。これで髪をこうすれば…」


『‥―!』


「ん、少し具合が悪いですが…どうです?」




セバスチャンはマントを羽織い、前髪を掻き上げて八重歯をちらつかせる。


これは、多分…




『‥よく似合ってます。本物の吸血鬼みたいで』


「それはよかった」


『―なんか似合い過ぎてドキッとしちゃいました』


「もっとしてくださって結構ですよ?」


『え、遠慮します』


「そうおっしゃらず」




カボ執事は吸血鬼に変身しました。



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