Orphan
□オーフェンお題小説!
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1.震えた声
(せいいっぱいの虚勢)
「私、アーバンラマに行くの。」
そう伝えた時、自分の声がこんなにか細くなったのに驚いた。
なんで?
顔に出さないで歯噛みする。
彼がそのことに気がついた様子がなく、ホッとする。
お互い顔を直視はしていない。俯くというほどではないが。
でも…なんとなくいつもと違う?
てっきり喜ぶと思ったのに。
彼が言う。
「そうか」
たった一言。
俺の前からは好きな女ほどいなくなるんだな。
声が震えそうなのでそれは伝えることができないまま。
それでも一言呟いた。
「まぁ。そのうちまた会うだろ。お前みたいなやつ…目立つし」
震えそうだったからごまかして。
「あんたに言われたくないわよ!指名手配されたら捕まえに行くからね!その時は連絡ちょうだいb」
「お前な…」
半目で呻いた。
お互いその時には顔を上げて、
「またな」
「またね」
と言い合って離れた。
さよならはいらない。
(言えない)
END