小話

□友達
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そんなある日。

「明日からテストだが、皆頑張れよ」

SHRで担任が言った。

……え。

「テスト……?」

バス停までの道を歩きながら、呟く。

そういえば最近、全然勉強していない。

学校では眠気に襲われてロクにノートなんか取らないし。

それに、家に帰ってからもずっと小説執筆とサイト更新に明け暮れていて、手付かずだ。

「……まずい」

思わず、声に出ていた。

「どうしたの、篷氏」

隣を歩いていた早月が言った。こうなれば、頼れるのは彼女しかいない。

「勉強、何にもやってないよ……」

「そのことか」

早月は飄々としていた。

「宜しければご教授願いたいのですが……」

前からずっと、何かある度に頼ってきた。だから今回も……。

「あのねえ」

早月は苦笑いした。

「何で、勉強してなかったか、分かるでしょう?」

「それは……」

そう、だけれど。

「自分のせいだって解ってるのに、頼らないでよ。
 何か理由が有るなら良いけど、……篷氏はちょっと我儘じゃない?」

我儘?

……私は、我儘なんだろうか。

期待されているから、それに応えたくて。だから誰かの為に頑張る。それが、我儘?

「何で我儘なの?」

「解らないんだね」

それだけ言って、早月は速足で去っていった。

私はその場に一人、取り残された。

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