小話
□友達
2ページ/9ページ
携帯電話を見ると、メールが4件来ていた。
早速、件名をチェック。
【購読ブログ更新】
【オンラインショッピングからのお知らせ】
【出逢ってみませんか】
【本当に困ってます】
「……全部要らん」
一人で呟いて、全てを削除する。
最近手に入れた文明人の証『携帯電話』だけれど、もう手放せなくなってしまった。
欲しい情報は、インターネットに接続すれば、大体何でも手に入る。
宿題攻略の際に分からない単語が出てきたら、辞書機能で一発。漢字変換も、計算も出来る。
暇になったら信頼できる友達と、他愛もない内容のメール。
というか、携帯電話の醍醐味はそこにあるんだと私は思う。
「早月にメールでもするかな」
新規メール作成画面を開き、そして本文を打つ。
《暇です》
数分すると。
《私も多忙だが暇。》
彼女は頭が良い。それは多分、勉強を頑張っているからなのだろう。多忙なのもそこから来ているに違いない。
《何かネタある?》
《小説の?》
というのも、私はホームページを運営している。今時流行りの『夢小説』サイトってやつだ。
原作者様応援サイトの一種である、夢小説サイト。抵抗がある人もいるけれど、私はそうは思わない。
私自身が素晴らしいと思った作品の、讃歌であるとは思っているけど。
《うん。短編書くから》
《じゃあ、文月君と夢主の友情モノ希望》
《あいよ》
こんな感じで、私の一日は進行していく。