小話
□友達
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翌日。教室にて。
「おはよう篷氏」
後ろから、早月の声だ。
私は振り返った。因みに、篷氏というのは私のハンドルネーム。
「ああ、おはよう」
「篷氏の短編執筆への創作意欲は相変わらずだね」
「文月君は書いててなかなか楽しいからねえ」
「まあ、脇役だけどね」
早月は笑うと、席に着いた。
「あ、さっきサイトに載せたんだけど、読んだ?」
私は何時も、夕方から夜を使ってメール画面で執筆し、翌日に登校途中のバスでサイトに載せる。
早月もその事を理解しているから、多分読んだだろう。
私は感想が欲しかった。
「うん、読んだよ。
夢主の為に大好物でありながら残り一つのモンブランを注文しなかった文月君、
そして夢主の『尽くせば認めて貰えると思っても、結果的には相手を傷付けることになる』って一言が凄く良かったよ。
……流石は篷氏クオリティだね!」
「いやあ、まだまだ稚拙だよ」
取り敢えずそう言ってはみたけれど、私は他人に評価されるととても嬉しくなる。
私が頑張れば、もっと親密になれる気がして。
だから、もっと褒めて貰いたくて、更に書く。
好評価を貰う。そして書く。
……繰り返しだ。