小話

□必要
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多分、自分のことを考えているときが、一番幸せなのだろう。

何でもない事柄に耳を傾けるより、自己主張したほうが、有意義だ。

だから、話の途中で自分の話を切り出したくなるのだろう。

「……それが、どうしたという……?」

一人、椅子に座って本を読みながら、呟く。

所詮は皆、自分のことしか考えていない。

他人を助けるのも、自分の身を守るため。

……或いは、それが自分の望みだからだろう。

生憎、自分にそんな生き方をする予定はない。

自分のために時間を使って、何が悪い?

勉強をするのも、空を見ているのも、本を読むのも全て、自分のため。

……何が、悪い?

「おい番長」

気付けば、声を掛けられていた。

「何」

「晴れてるし、外で遊ぼうぜ。番長が居たほうが、楽しいからな」

何故。

何故、自分が居ると楽しいのだろう。

……知っている。

自分を嘲笑うことを楽しむのだろう。

しかし、断れば鉄拳制裁が待っている。

「今、行く」

本を仕舞い、席を立つ。
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