小話

□中学高校駄文集
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【クラウド 〜CLOWD〜】





目を閉じて、空を思い浮かべてみる。

果たして空は何色だろう。

そこには何があるだろう。

今までを過ごしてきた時間は何処へ消え、これから訪れる未来は何処にあるのか。

そんな不安を抱えたときは、やがて来る未来を想像してみよう。

『今』が遠くへ過ぎ去った後も、確かに自分は存在しているのだ、と気付けるだろう。


未来の想像は難しくない。しかし、創造することは思いの外難しい。

夢は叶える為にあると人は言うが、ならば創造した夢は必ず叶えなければならないのか。

それでは、夢を語り辛くなる。


夢は、とても不安定なものだ。

自分の心境が少し変わっただけで、その形を変えてしまう。

そんなものを絶対叶えてくれと言われても、正直、困る。


夢は、時間と環境に左右される。

まるで、大空に浮かぶ白雲のように。


何処へ向かうのかは分からない。

その形さえも分からない。

時には風に導かれ、時には宛ても無く彷徨う。

ただただ彷徨い続ける。

それは、青いだけの空の何処かに漂う。

それは、見付けた者に応える。

いつか描いた一抹の望みはやがて、雨となって地上に降り注ぐ。


今、私の空には小さな雲が漂っている。

音楽への憧れから生まれた雲。

いつかは、音の雨で人々の心を潤せるだろうか。

この小さな雲は、上昇気流に乗り出したばかりだ。

少し先の未来に、希望という雨を降らせるために。


その風を吹かせるのは他でも無い――・・・・・・自分だ。







〜2009年春〜

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