お題部屋

□ふいうち
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ぐっと顔を近づければ、その距離からシグバールの吐いた息が吹きかかる。
息が風となって、サイクスの髪を揺らした。
意識が無くともくすっぐたい感覚を感じるのか、鬱陶しそうに首を振り髪を振り払う。
そしてまた身動きをしなくなるサイクスの顔をただ見つめながら、シグバールが目を細めた。

瞼を閉じたことで下に揺れる長いまつ毛や、息を吐く為に僅かに開いた唇が、シグバールの目を逃さなかった。
ふいに手を伸ばして好奇心に似た感覚からサイクスの唇に指先で触れた。
ほんの少し力を入れて押して、手を離せば弾力でまたぷっくりと上がる唇。
同時に、シグバールの胸も大きく跳ね上がった。
そんな気持ちでしたわけじゃないのに、そのいつもの姿からは想像できない無防備な姿にいやらしく鼓動が早く脈を打った。
笑みをなくした余裕を見せない顔は、じっとサイクスを見つめる。
何も気付かずに寝息をたてる様子に、少しだけシグバールに隙が生まれた。
ここまで欲が上がってくると、抑えるのは難しい。早くなる鼓動が胸を締め付ける

少しだけ。ほんの少しだけ

音を立てて、サイクスの胸元に手を添えた。
近づけた顔をさらに近づけて、寝息が吹きかかる位置まで前に出して、膨らんだ唇にゆっくりと自分の唇を重ねる。
優しく触れ合いながら、長く時を止める。
すると、息苦しさからかサイクスの唇が空気を求めて小さく震えた。
震えに気付いたシグバールがすぐに口を離して、顔も離した。
やっと空気を吸い込んだサイクスの潤った唇が風に震えた。
ハッキリと言ってしまえば、色っぽいという表現に近いのか。シグバールの頬を汗が伝った。
少しだけ欲を吐き出させてくれればそれで良かれと考えた頭の中に、更に欲が生まれた。
抑えるためにした行為が、さらにシグバールの鼓動を早めたのだ。
こうなると、欲だけでなく理性も止められなくなる。
身体の奥から湧き上がる欲望を抱えて、再びサイクスの胸に手を置いた。
また息のふきかかる位置に顔を近づける


「悪いな…」


してはいけない事だとわかっても、今の状態ではとても抑えられなかった。
再び唇を重ねて、今度は開いた口の中に舌を進入させた。
するすると簡単に入れ込めば、相手のソレとゆっくりと交わらせた。
卑猥な水温をたてて色々な角度から絡めて、シグバールの欲情はゆっくりと上がっていく


 
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