お題部屋

□ふいうち
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目的場所にたどり着いた時、シグバールは僅かな笑みを見せていた顔をしかめた。
その場所の周りが、やけに薄暗い。
灯りをつけていない事は分かるが、ついていない事でそれはある事を示していた。


「こりゃ、オヤスミ中だなぁ。」


場所への道は閉ざされていない。扉という物が城の中にはあまり無いので、そこも扉は無かった。
開放されている入り口の前で、シグバールは立ち止まる。

目的場所にたどり着いたのはいいが、そこの主は他の機関員達と同じく就寝中だろう。
機関の第二幹部的な存在だけあって、真夜中にも瞳を開いていると思ったが、予想が大きく外れた。
起きているのであれば自分はその者より高い位であるからして、警戒はされないだろうが、


「いや。あの性格からして、警戒はされるかもってハナシだよなぁ…」


寝ている時に、何の前触れもなく勝手に部屋に侵入されれば、起きたときに何を言われるか、はたは何をされるか分からない。
シグバールのしかめた顔が、さらに歪む。
その顔のまま、手に持つ本に視線を下げた。

かと言って、このまま引き返して本をそのままにすれば、シグバールが何故それを所持していたのか不信に思うその者に誤解され冷ややかな視線を向けられる事になるかもしれない。
悩むまま、頭を掻いた。どうすればいい

また廊下に本を放置して、誰かが拾うように仕向けるか。でもそれでは後が面倒になってしまう
シグバールの小さな唸り声が、喉を振るわせた。
その震えを飲み込んで、顔を正面に上げた。重くため息を吐く。

仕方ない。寝ている時に悪いが、部屋に戻しておくか。

すぐに出て行けば問題ないだろうと、部屋に足を踏み込んだ。

 
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