お題部屋

□これは愛なの?
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「ん…」


ゆっくりと闇から意識を覚醒し、ソラが目を覚ます。
まだ朦朧としている意識の中、ここは何処なのかと辺りを見回す。
幽霊屋敷とは違った、一面真っ白で静かな部屋。
その中央にあるベッドの上に、ソラは横たわっていた。
白い天井を見上げながら、どうしてこんな所に居るのか記憶を探る。
そして、瞬時にゼムナスの姿が頭によぎった。
ゼムナスに連れてこられたのかと悟ったソラは、すぐさま逃げようと身体を起こそうとする

が、全く持って体は動かない
謎の球体にほぼ全ての力を奪われたのが、また記憶によぎった
力を奪い取られたせいで、まるで身体が動かない。
何とか身体をよじらせても、それは無意味に変わる。
大きなベッドの上、ソラは一人動かない身体を揺さぶった


「目覚めたか。光の勇者」


すると、どこからともなく低い声音が自分を呼んだ。
ふいに顔だけを横に動かせば、いつ現れたのか、ベッドの横にゆらりと姿を現したゼムナスの姿があった。
すぐに目つきを変えて、顔だけでもゼムナスに敵意を示す


「こんな事して、一体どうする気だよ!?」


キッと自分を睨んでくるソラを見つめて、ゼムナスは笑う。
そのまま、ギシリと音を立ててベッドに手をかけた。
ベッドの上に乗り込んできたと思えば、ソラの上に四つん這いにのしかかった。
その姿にソラが目を見開く


「なっ、ナニして…!」


言葉が言い終わらない内に、ソラの顎をゼムナスの細い指が持ち上げた。
ぐいと上を向けられたソラは、驚愕に目を凝らす。
ゼムナスは笑ったまま、じっとソラを見つめていた


「離せ……んっ!?」


また言葉が言い終わらぬ内に、今度は口を塞がれた。
ソラの口を塞いだゼムナスの口から、舌がやってきてソラの口の中に進入してくる。
力の無いソラにはそれを拒む事も出来ず、乱暴に舌を捕まえられて絡ませられる。
息の出来ない感覚に、朦朧とする意識が更に薄れていく


「ふっ…く、ん…!」


何も出来ないソラは、ただベッドのシーツを握り息苦しさと気持ち悪さを示した。
それもお構いなしに深くソラを求めるゼムナスの舌が動き回る。
だんだんと息の出来ない状態から、ソラの意識が限界に近づいた。
その時、要約ゼムナスの口が離れる。
離れていくゼムナスの口とソラの口を、名残惜しそうに銀の糸が繋いだ。
それをプッと音を立てて指で切ると、ゼムナスがまた笑う。
その笑う瞳が映し出す少年は、乱れた息をすぐさま整えて、ゼムナスをきつく睨んだ


「っに、すんだ…!お前、何がしたいんだよ…!」


無力の今、逃げる事は不可能
だったらせめて抵抗しようとソラが、何を考えているか分からないゼムナスにきつく言い放った。
それでも笑ったままのゼムナスは、一瞬沈黙を挟んで、静かに口を開いた。
口付けで潤った唇は、不気味にきらめく


「私は、貴様が欲しいだけだ」


ソラには、その言葉の意味が判らなかった

俺が欲しい?

ふと、ソラの頭の中に再度記憶が再生される。
ゼムナスが小さく呟いていた

これで光の勇者は私のモノだな

という、不気味で意味の分からない一言。
ゼムナスの理解できない言動に、ソラの顔が歪む。
その歪んだ顔を、ゼムナスが両手で包み込んだ。
手袋に隠された手からは何の体温も感じられず、ひんやりとした布の感覚だけがソラの頬を包んだ。
じっとソラを見つめるゼムナスが、また口を開く。
今度はよく聞こえるように、低くハッキリとした言葉で、ソラの顔の目の前で。


「貴様が欲しいのだ。ソラ
その為には、私を貴様に刻み込む必要があるだろう?」

「…!」


細く尖る瞳で自分を見つめてそう呟くゼムナスの一言に、ソラの表情が固まった。
刻む込むという表しが、ゼムナスが何をしようとしているのかソラに理解させた。
ザッと一気に青ざめる顔を現して、瞬時に身体をよじらせた。
逃げなければ、そう感じてベッドからの脱出を図ったが、体は言う事を聞かない状態。
すぐにゼムナスに押さえつけられて、肩を強く押されベッドに倒れる。
瞳を開けば、不気味に笑うゼムナスの姿。
足の裏から身体を通って、青ざめた表情を顔に表した
 
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