お題部屋

□軽く実験体
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=無視点=


「っ、か…はっ…」


訳が分からなかった

どうして自分はこんな状態でいるのか
どうしてこんな事になっているのか


何も分からない状態でただ、虚しく自分の身体の中の物の振動音がなる





アクセルはついさきほどまで、機関を裏切ったとして追われる身となっていたため、なるべく警戒をしながら行動をしていた。
そのようにしてさっきまで、依然任務で訪れていた世界を行き来して自分の目的の為足を進めていたのだ。


だが、

ドンッ

「ぐっ!」

足を止めて辺りを見回していた時、身体に鈍い音と共に激痛が走った。
首辺りを刺激してきたその正体も分からない痛みに、アクセルは耐え切れず意識を闇に落としてしまう。
意識を手放す寸前で感じた、自分を支える何者かの気配の正体さえもつかめずに。




そして目を覚ました、今。


「はっ…なっに…くっ…!」


瞳を開けた時、目覚めているのか分からないくらい真っ暗な視界。
それが目隠しをされている状態だと気付いた時、下半身に響く振動音。
冷たい風が身体をつつみ、自分は全裸の状態である事が分かった。

そんな事に頭を回せないくらい、激しい振動音と共に刺激される下半身に、わけの分からないまま声が漏れた。
その振動音をならす物が何か分からないが、明らかにそれは自分の下半身の口に入り込んでいた。
眠っている間にこんな事をされてどうして気付けなかったのか、自分の鈍さが悔しい。

最初は痛みしかなかったその振動も、段々快感に感じてしまうようになり、唇を噛んで声を抑える。


「ふ…うっ…!」


一体これはなんなのか
どうして自分はこんな事をされているのか

答えが欲しくて、唇を空に動かして声を出そうとしても、その声は感じる声に変わってしまう。
視界も遮られてまさに何も分からない状態のままこんな事をされても、気持ちが悪い。
せめて視界だけは開放したくて首を振って視界を遮る布を下ろそうとしてもビクともせず、無駄に体力を消耗してしまって感じる気が大きくなる。

カチカチッ

そんな音が聞こえると同時に、振動を早める下半身におさまる何か。
ビクビクっと身体が震え、より一層感じてしまう。


「や…ぁ…っ!」

「辛いか?」



いきなり、静かに低く響く声が鼓膜を揺らした。
自分以外の存在が近くに居ることに気付いて顔を上げた。
そして、自分はこの声を知っている。

決してこんな事はしないはずの、かつて友だった存在。



「サ、イ…クス…?」
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