Novel
□薔薇の花には刺がある
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「百合」
後ろから声が聞こえ、振り向くと白夜がいた。
「聞いたよ。敬語無しの許可貰えたんだって?」
「うん。駄目元で頼んだら良いってさ。言ってみるもんだね」
「よく言えたよね。百合」
「‥言ったあとさすがにヤバイかなって思ったけどね」
考えてみれば物凄く無礼かも。
少し反省したが、まぁいいだろう。
「そういえば霄のとこへ行かないの?そろそろ時間じゃ‥」
「あーっ!!忘れてたァァァァ」
百合は走り去っていった。
相変わらず速い。
「変わんないなぁ。百合」
「とんだじゃじゃ馬であろ」
驚き後ろを見ると百合の母・小夜が立っていた。
「昔と変わらず元気で安心しました。元気すぎるのも玉に瑕ですが」
「確かにの。あのような条件をつけるとは思わなかった」
小夜は溜め息をついた。
あの娘は自分の言ったことが
分かっているのか。
「厄介なことにならぬといいがの。それではわらわも用があるんでな。失礼する」
そう言い残し小夜は踵を返した。変わらず誇り高く綺麗な小夜に白夜は見とれた。
きっと百合もあのような綺麗な女性になるだろう。
白夜はそっと微笑んだあと
何かを思い出したように溜め息をつき自宅へ帰った。