00長編

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赤く染まった空を、突如現れた赤いガンダムは見渡していた。


「あなたは・・・?」

伊織は赤いガンダムパイロットに問いかける。
向こうからの通信が繋がっているのだ。
赤いガンダムパイロットは、楽しそうに伊織に答える。

『アハ!
やっぱりジークレンのパイロットは女の子なのね!聞いてた通り!
無茶ばっかりしすぎよ、エクシアとジークレンのパイロットさん!』

カメラまで繋がり、ジークレンのモニターに相手側のパイロットが映った。
声色と口調、そしてカメラ映像から女性パイロットだということがわかる。

「何で、機体の名前を?」

ソレスタルビーイング関係者以外は、この機体がガンダムであることしかわからないはずだ。
その問いに答えることはせず、彼女は言いたいことだけを伝える。

『このガンダムはスローネガンダム・スローネドライ!
そして私の名前はネーナ・トリニティ!
他のマイスターの所にも私の兄ぃ兄ぃズが行ってるよ☆』

「どういうこと?
ガンダムは五機だけじゃぁ・・・」

伊織は耳を疑った。
スローネガンダムなんて初めて聞くし、プランにもなかった。

『それは・・・あ、ごめぇん!離脱命令が出たから行くね!』

結局、何も核心に触れないままでスローネガンダムのパイロットのネーナは去っていく。
機体の両腕を大きく広げると、背部からまた赤い粒子が広がっていく。

「この散布領域の広さ、信じられない・・・」

だが、これは今現に起こっている事実なのだ。
伊織はその光景に見入ってしまう。
真っ赤な天使なんてもの、伊織は知らなかったからだった。



『ガンダム全機、離脱行動を開始してください!』

トレミーにいるクリスの声がマイスターのヘルメット内で響く。
ヴァーチェ、キュリオス、デュナメスの三機はプラズマフィールドによって鹵獲寸前のところだった。
それを、エクシアやジークレンと同じくスローネを名乗るガンダムに助けられた。
マイスターが確認した未知のガンダムは全部で三機。
トレミーにいるスメラギも、マイスターから送られた映像で確認した。

介入行動は中止。
ガンダム五機は宇宙に上がるようにトレミーから指示が下った。



カクンッ

「っ、大丈夫か?」

コンテナに機体を収納し、伊織はコックピットから出る。
ヘルメットを脇に抱えてキャットウォークの手すりに捕まって床に足をつけた。
床を蹴りつけ、一歩踏み出そうとしたときに伊織の目の前の景色が揺れた。
その場で頭を押さえた伊織に気づき、刹那は伊織に手を差し出す。

「大丈夫!ちょっと立ちくらみしただけ・・・」

「無茶すんなよ。」

「わぁっ!」

ロックオンは伊織を軽々と持ち上げて、そのままお姫様抱っこする。
それを見た刹那は唇をへの字にしてロックオンを見た。
一方の伊織は、この年で抱っこされたことに多少ショックを受けていた。

「ロックオン・・・」

刹那が少し震えた声で言う。

「まぁまぁ怒りなさんな。
刹那はこのまま待機、俺たちはミススメラギの下へ行く。」

指示なら仕方がない、という感じで残された刹那はエクシアに搭乗した。



「それにしても、あの赤いガンダムは一体・・・」

各自の部屋に戻る途中で、アレルヤが不安そうに呟いた。

「“スローネ”って名乗ったよね。」

「我々の他にガンダムがいるなんて、ヴェーダにも記載されていなかった。」

「ミススメラギに聞いて情報を貰うしかなさそうだな。」
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