00長編

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敵の本当の目的に気づいたときにはもう遅かった。
敵MSは、伊織たちからの攻撃をかわして時間稼ぎをしているのだ。
焦りだけが大きくなる。

「早くしないとアレルヤが!」

『死角へ回り込んでいるから気を付けて!』

「はい・・・!」

瞬間、ガンダムに敵からの一斉攻撃が降りかかってきた。
GNフィールドを展開して、攻撃を見送る。
伊織は、自分が行くしかないと考えた。

「スメラギさん!」

『伊織、どうしたの?』

「アレルヤの所へ向かわせてください!!」

『え!?』

「ジークレンの機動力なら今からでも間に合います!
早くしないとキュリオスとアレルヤを助けに行かせてください!」

スメラギはしばし黙る。
ジークレンが行ってしまえば、逆にこちら側が手薄になる。
だがキュリオスが捕まってしまえば、ガンダムやGNドライヴといった情報が漏洩してしまう。
計画遂行のためにも、それだけは避けなければならない。

『・・・許可します!早くアレルヤのもとへ!』

「了解!」

ジークレンのGN粒子散布率が最大となり、粒子の光をきらめかせてジークレンは戦線から離脱する。
向かうは、敵輸送艦だ。

ピピッ

コックピットのモニターにガンダムの反応が映る。

「ティエリア!」

『伊織、一体どういう事だ!
何故キュリオスが敵輸送艦に鹵獲されている!?』

「話は後!
早くアレルヤを助けるよ!」

『万死に値する・・・』

「これはガンダムの機密を守るためでもあるってわかんない!?」

『・・・』

そうこうしている間にも敵からの攻撃は勢いを増していく。
輸送艦一隻にMS数十機はさすがのガンダムでも圧されぎみになる。
それに、相手側はこちらの考えを完全に把握しているのだ。
分が悪いのは、明らかにソレスタルビーイングの方である。


「ティエリア!?」

『アレルヤ・ハプティズム。
君も、ガンダムマイスターにふさわしくなかったようだ!』

ヴァーチェが輸送艦に向けて攻撃体勢に入った。
大出力を誇るGNバズーカの砲口が、輸送艦に向けられる。

「やめて、アレルヤが居るんだよ!?」

『邪魔をするな!
今ここで計画を狂わせるわけにはいかないんだ!』

ピピッ

2機のガンダムのモニターに新しいMSの反応が映る。
人革連所有のティエレンとも違ったMSだった。

『新型か・・・』

「早い!!」

ジークレンは従来のティエレンに押さえられ、新型は迷わずヴァーチェに攻撃した。

「ティエリア!」

『伊織、何を!?』

ジークレンは迷わずヴァーチェを庇った。
この新型相手では、ヴァーチェは少なからず不利になる。

「早く行って!
此処は私がくい止めるから!」

『しかし・・・!』

「早くしろって言ってるでしょ!?」


ジークレンに背を向け、ヴァーチェは輸送艦の方へ向かった。
新型のMSは、伊織の予想以上にスペックが高い。
GNビームサーベルを二本構える。
ガンダムに乗っているとは言え、このパイロットに対して油断は禁物であることを伊織は感じた。

「ジークレンを、舐めるなよ!」
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