甘味肆

□犬好き(誠凛)
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海常高校と桐皇学園高校の試合後日。

いつもより早く来たなまえはドリンクの入ったカゴを両手に持って体育館に入る。
朝早いのに、もう暑くなってきている。
カントクの分の飲み物も準備しようかなと思っていると、可愛い鳴き声が聞こえた。


「犬?」

「あ、おはようなまえちゃん。」

なまえに気づいた木吉がなまえに声をかける。

「あの、今犬の鳴き声みたいな・・・」

「わんっ!」

なまえが尋ねると、目の前に可愛らしい犬が現れた。
黒子の頭に乗ってるその姿は、何とも言えず、可愛い。

「おはようございます、みょうじさん。」

「・・・」

犬を見て、ぽかんと口を開けたまま硬直するなまえ。
選手達は、もしかしたら彼女は犬が苦手なのかと不安に思ったが・・・


「犬ぅぅううう!!!!!」


ガシッと黒子の頭から犬を抱き上げると、そのまま腕の中に抱きかかえた。
当の本人は天にも昇りそうな幸せな顔をしていて、犬もなんだか嬉しそう。

「ありゃ?マネージャーは犬大好きなの!?」

小金井がなまえに尋ねると、彼女はうるうるした目を彼に向けた。

「愛してるの領域です!
可愛いですね、この子!どうしたんですか!?」

むしろ君の方が可愛いです。
なんて選手達は思っても口には出さない。
なまえがここまで喜ぶのは意外だった。

「僕が拾ってきたんです。」

「そうなの?
だからかな?なんかどことなく黒子君に似てるかも。
可愛い〜!!」

似ていて、しかも可愛いとまで言われた黒子は嬉しそうだ。
キャッキャッ言いながら犬を抱きしめるなまえ。
そんな彼女に対して、ただ一人きり、体育館の隅でぶるぶる震える男がいた。

木吉は火神の犬嫌いも、なまえがいれば大丈夫なのでは?と考え、聞こえないように耳打ちする。


「なまえちゃん、」

「どうしました?」

「火神が犬大好きで悶えてまくってあそこで震えてるからテツヤ2号見せてきてあげて?」

「黒子君が見つけたからテツヤ2号ですね、可愛いです。
火神君、本当に震えてる・・・任せてください先輩!」

火神の事情など知らないなまえは意気揚々と火神に近づいた。



「鉄平・・・」

「何だ?」

「お前、マネージャーが火神の犬嫌い知ったらどうするんだよ?」

「火神はなまえちゃんにメロメロだから大丈夫だろ!」

はぁ、とキャプテンの日向はため息をついた。
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