甘味
□四話
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「ちがっ・・・!!!」
「リディア!!」
リディアの目に映ったのは見慣れない壁だった。
「違う、私は・・・」
「リディア、おい!」
「私は・・・」
「リディア・イノセント!!!」
肩を掴まれて大声で名前を呼ばれる。
「あ、アスラン・・・?」
「はぁ、全く・・・
随分とうなされてたみたいだな・・・平気か?」
リディアの肩を思いっきり掴んでいるのはアスランだった。
リディアが頷くと、肩から手を外して側にあった椅子に腰掛ける。リディアはやっと、自分がベッドの上にいることに気がついた。
「私、死んじゃったかと思った・・・」
「生きてるよ。だからもう、泣くな・・・」
「え・・・?」
顔に手をやると、水滴が付いている。
「何で、泣いて・・・?」
アスランはリディアを優しく包み込む。
「安心しろ。ここはザフト艦だ。心配することは何もない。
おかえり、リディア。」
「アスラン・・・」
アスランをぎゅっと掴む。
「ここにいる。」
「アスラン・・・!」
涙が溢れてきた。
「俺は、お前の側にいるから。」
名前を呼んで、答えてくれる。
その彼が、とてつもなく愛おしかった。
「ニコル?部屋に入らないのか?」
ニコルはリディアの病室の前に立っていた。
イザークとディアッカもリディアを見舞いに来ていた。
「しーっ。僕たちはまた後でリディアを見舞いましょう。」
「でもアスランだって中に居るんだろう?だったら「イザーク。」
ディアッカがイザークの方向を変える。
「今はそっとしておいてやれよ。
久しぶりになんだから、ニコルの言うとおり、俺達は後にするぞ。」
「ちょ、おぃ!」
「はい、行きますよー。」
「こっちだぞー。」
二人はイザークを引っ張って休憩室へと向かった。