甘味
□九話
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宇宙には、様々な思いがひしめき合っていた。
「私たちは、どこへ行きたかったのでしょうか、何が欲しかったのでしょうか。
戦場で、今日も愛する人が死んでいきます。
私たちは一体いつまで、こんな悲しみの中で過ごさなければならないのでしょうか。
戦いは、終わらせなければなりません。」
戦いを止めようとする思い。
「ラクス・クラインの言葉に惑わされてはいけません。
彼女は、地球軍と通じ、軍の重要機密を売り渡した反逆者なのです!
この戦争、我らはなんとしても勝利せねばならないのです。
敗北すれば、我々には過去より尚、暗い未来しかないのです!」
戦争に勝利し、祖国を守りたい思い。
誰が正しい。
誰が間違っている。
そんなこと、誰にも分からなかった。
ただ、自分の信じる道こそが正しいのだと、信じるほかに手はなかった。