甘味

□七話
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地球軍アラスカ本部

突然のザフト軍の襲撃。
アークエンジェルは司令部とコンタクトを取ろうとするが、
『各地、防衛戦を維持しつつ、臨機応変に応戦せよ』
という同じ返答しか返ってこなかった。

(一体、どうすれば・・・!!)

「遊軍機接近!
被弾している模様!」

オペレーターを務めるミリアリアが叫ぶ。

「っ!
整備班!どっかの馬鹿が突っ込んでこようとしているわ!
退避!!」

マリューがすぐに整備班へ連絡を取る。
突っ込んできたのはスカイグラスパーであった。





「艦長!」

「!少佐、あ、貴方一体何を・・・!?
転属は!?」

ブリッジに入ってきたのはアークエンジェルから別艦へ転属されたはずのムウだった。
マリューは驚いた顔でムウを見る。
ブリッジの全員が驚いていた。

「そんなことはどうだって良い!!
それより、すぐに撤退だ!!」

「え・・・!?」

ムウは艦長席に近づき、大声を上げて説明する。
その間にも、流れ弾がアークエンジェルにぶつかってくる。

「良いか、よく聞けよ。
本部の地下に、サイクロプスが仕掛けられている。
作動したら、基地から半径10キロ以内は溶鉱炉になるって代物が・・・!!」

「え!?」

「この戦力では、防衛は不可能だ。
パナマからの援軍は間に合わない!!
やがて守備軍は全滅、ゲートは突破され、本部は基地の破棄を兼ねて、サイクロプスを作動させる・・・!!」

全員がムウの言葉に硬直している。

「それで、ザフトの戦力を奪う気なんだよ!!
それが、お偉いさんの書いたこの戦闘のシナリオだ・・・!!」

「・・・!!」

マリューは言葉も出せなかった。

バァーンッ

アークエンジェルが大きく揺れる。

「そんなっ!!」

「俺達はここで死ねと、そういうことですか・・・!!!」

「撤退したことを悟られないように、奮戦してな・・・!!」

ブリッジにいる者は、顔に絶望の色を浮かべている。


「こ、こういうのが作戦なの・・・?」


ミリィが肩を震わせる。


「戦争だから、私たち、軍人だから・・・
そうやって言われたら、そうやって死ななきゃイケナイの・・・?」

涙を浮かべながら、ミリィは言う。
マリューは苦渋の決断を下した。
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