甘味

□五話
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C.E.71 二月


プラント最高評議会は、停滞していたオペレーション・ウロボロスの強化作戦を決議。
ザラ国防委員長の提案による、新たな作戦“スピリット・ブレイク”の準備を開始した。

リディア達は、ザフト軍ジブラルタル基地へと来ていた。


「あれ?ニコル・・・。」

基地内を歩いていたリディアは一人で居るニコルを見つける。

「ニーコル!」

「リディア、どうしたんですか?」

リディアの顔を見て、嬉しそうに笑うニコル。

「いやぁ、何か作戦内容を聞いたら一人で居るのが怖くなってさ。」

手をギュッと強く握りしめるリディア。
自分たちの隊長から聞かされた作戦内容は、地球軍基地への強襲作戦だった。

「大丈夫ですよ。」

「ニコル。」

「この作戦で、きっと世界は変わります。
戦争も、きっと終わりに向かってくれますよ。隊長だって、そう仰ってました!」

「そうだね、ありがとうニコル。」

リディアに笑顔が戻る。

「そうだ!
今、暇ですか?」

「そうだけど、どうしたの?」

「リディアが居なかったこの半年近く、僕、頑張って練習したんです!
聴いてくれますか?」

「もしかして、ピアノ?」

「はい!
といっても、録音したヤツなんですけど・・・」

「ううん、聴きたい!!」




二人はニコルの部屋に行き、録音した音楽を聴く。

「綺麗な音色・・・
今までも凄く上手かったのに、もっと上手くなってる。
ニコルは凄いなぁ・・・」

「リディアに聴かせたくて頑張ったんです。
本当は、生での演奏を聴かせたかったんですが・・・」

「次にプラントへ戻ったら、弾いてくれる?」

「もちろん!」

顔をパァッと輝かせてニコルは返事する。


「孤独を思い出すとき・・・」

リディアは澄んだ声で歌い出す。
右手で流れてくる音色と歌っている歌の調子を合わせる。
ニコルは目を閉じて、その音楽を聴いていた。
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