甘味拾

□わたしの日常
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友だちがいっぱいいて
毎日が楽しい


そんな 私の日常





携帯のアラームを止めて勢いよく起き上がった。
勢いに任せたままだったので、そのまま頭が前の方にガクンと落ちる。
首がもげそうになった。
カーテンからは光が漏れて、今日もいい天気だということがわかる。

「ふじの!」

階段を上ってくる足音と一緒に聞こえるのは母親の声。
パタパタというスリッパの音がなんだか忙しない。

「いつまで寝てるの、ご飯食べなさい!」

ベッドの上でパジャマを脱ぎ、下着姿になる。
カーテンをシャッと開けたら光が飛び込んできて思わず目を覆った。
しかし朝からそんなにモタモタしているわけにはいかない。
母親の声が怒鳴り声に変わるまであともう少し。
昨日から用意してあった服を急いで着て、ふじのは部屋のドアを開けた。

「今行くー!」

ふじのの首もとで、小さな指輪が光るネックレスが揺れた。





見滝原中学校は、数年前に全面的に改築されて最新の設備に変わっている。
ここの制服を着ているふじのは三年生の廊下を歩いていた。
すると、後ろから軽い足音が聞こえてくる。
ふじのが振り向いたと同時に、足音の主はふじのに飛び付いた。
もちろん、突然のことにふじのは驚く。

「うわっ!」

「おはよう、ふじの」

「マミか!びっくりさせないでよね〜」

飛び付いてきた正体は、巴マミ。
彼女はふじのと同じ三年生であり、一年生の時から同じクラスで勉強している。
席も近くて、ふじのとマミは親友のような間柄だ。
明るい色の髪の毛の縦ロールを揺らして、マミは可愛らしい笑顔を向けた。

「なんだかふじのに会ったら、心強くなるわ。」

「?
マミ、それどういう・・・」

マミはふじのの隣に立ち、一緒に教室に向かう。

「何でもないわ。
それより、最近は委員長の仕事が忙しいって言ってたけど、大丈夫?」

「うん、平気。
そういえばね昨日保健の先生から聞いたんだけど、二年生に転校生が来るみたい。」

二人が教室に入る。
先に来ていたクラスメートと朝の挨拶を交わし、ふじのとマミは鞄を置いて席に着く。

「転校生って珍しいわね。」

「スゴいよね〜」

そんな他愛のない話をしている間、親友の目の前でマミは一人、考えに耽る。
感じていた魔法少女の気配。
マミは自身の指に着けてある指輪に無意識に触れていた。
ふじのは、その指輪を見ていた。
今日初めて気付いた訳ではない。
むしろ結構前から知っていたし、その指輪の正体も知っていた。

「ふじの、今日の数学はふじのが当てられる順番じゃなかった?」

「うそ!?私教科書解いてないよ、先に教えてよマミ〜!」

「昨日は私が当たったもん。だから、わかるでしょ?」

数学が苦手教科の部類に入るふじのは、がっくりと肩を落として当てられそうな問題を解き始める。
マミはそんな友人の背中を見て、楽しそうに小さく笑った。
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