甘味肆

□たいおん
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なまえが夏野の手から本を取ろうとすると、夏野はひょいっと持ち上げる。
結果、なまえは夏野に抱き着く形となってしまった。

「・・・!」

「図書室で大胆だな。」

夏野の言葉に、なまえは真っ赤になってしまう。
なまえが夏野から離れようとした瞬間、夏野は本を棚の隙間に置いてなまえを拘束した。

「ふっ、・・・ん」

そのまま、逃げようとするなまえの唇を塞ぐ夏野。
バランスが崩れかけたので、なまえを本棚に押しつける。

「ぷはっ、なつ・・・!」

息を吸おうとなんとか唇を離したなまえ。
夏野はその隙間を見逃さず、舌を入れてくる。
自分の声が露骨に響くのに驚いて、なまえは声を抑えようとする。

「なまえの顔すごい、」

やっと離されたと思ったらこの言い様である。

「やらしい」

「っっっっ!!
夏野君が意地悪するから!」

涙を目に溜めて夏野に反論するなまえ。
一応ここは図書室、学校!
なまえはそこを強調したかったが無駄に終わる。

「っ、」

目に溜まった涙を親指で拭い、なまえの手を絡めとる。
いわゆる恋人繋ぎ。
強く絡めた手にキスを落とし、夏野はなまえを見る。
苦しかったのか、それ以外なのか、なまえの顔は紅くなっている。

「なまえ、なまえ・・・」

「夏野、くん・・・ここ学校ぁ、から!」

いつもと違う夏野の様子に、なまえは少しだけ危機感を覚える。

「なら、学校じゃなきゃ良いのか?」

「そういうわけでもない、かも・・・?」

「じゃぁここで」

夏野は性急に事を運ばせようとしている。
なまえは強く言い放つ。


「・・・、何をそんなに焦っているの?」

夏野はなまえと絡めた手と、なまえを抱き寄せる手に力を入れた。
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