甘味
□三話
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キラ・リディア・サイ・ミリィは通路を通っていた。
サイが口を開く。
「カズイがさ・・・
お前達とあの女の子の話聞いてたって。あのイージスに乗ってるの、友達なんだってな・・・しかも、リディアの従兄弟だって・・・」
「「!!」」
「正直言うと、ちょっと心配だったんだ・・・」
「サイ・・・」
「でも良かった。
お前、ちゃんと帰ってきたもんな。
リディアだって大変なのに俺等と一緒にいてくれて・・・」
サイが安心したように言う。
「じゃぁ、俺、交代だから!」
そう言ってサイとミリィはブリッジへ向かった。
キラとリディアはエレベーターに乗り込む。
「聞かれてたんだね・・・」
「みたいだね。」
キラの顔が少し赤い。
「どうしたの?」
「いや、聞かれてたって事は、別に見られてたって事じゃないし・・・その、」
ごにょごにょ話すキラ。
何が見られてたんだろうと、リディアが考えていると、リディアの顔も少し赤くなった。
思い出したのはキラとリディアが強く抱き合っているところ。
「あ、あれは、不可抗力って言うか・・・そうするしか無かったんだし、聞いてただけなら、見てないでしょ!」
「そそ、そうだよね!うん、そうだよね!」
「そうだよキラ!絶対に!むしろ!!」
エレベーター内では二人の声が大きく響き渡っていた。
一方、ブリッジに向かう途中のサイとミリィは。
「私たちが、二人を支えてあげないとね。」
「あぁ、そうだな・・・それにしても、」
「?」
「もう一つカズイが“見てた”事があるんだけど・・・」
「なんかそこは想像できちゃうわね。」
ミリィがクスッと笑いながら言った。
どんな感じだったのか完全に頭の中に浮かんでいるのだろう。
「だよなぁ。今は大変な状況だけど、だからこそ二人が気持ちを知らなきゃ、いつか絶対に後悔する気がする・・・」
サイが少し俯いて言う。
ミリィも少し不安を感じたが、
「大丈夫でしょ、きっと。
だって、リディアとキラだもん。二人なら大丈夫、二人なら・・・」
とサイに言った。