甘味拾

□掴め、未来を
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「分かっているの、鹿目さん?
あなたの願いはとても恐ろしいものなのよ?」


カチャカチャと陶器製のティーセットが音を立てた。
熱々のポットからお湯を注ぎ、ティーポットで茶葉をじっくり広げる。
マミは慣れた手つきで、お茶の準備を続けた。
ここは巴マミの部屋。
三角形のローテーブルを囲んで、まどかとマミは座っていた。
マミはクリームがかかったケーキといれたての紅茶をまどかに出した。
まどかは、苦笑しながら答えた。

「多分・・・」

「未来と過去の全ての時間で、あなたは永遠に戦い続けることになるのよ。
そうなればきっと、あなたはあなたという個体を保てなくなる。」

同じように座っていたふじのは熱い紅茶を一口含み、まどかに話す。

「死ぬなんて生易しいものじゃないよ?
未来永劫終わりなく魔女を滅ぼす概念として、固定されてしまう。」

「いいの。そのつもりだから。」

まどかは、自分を案じてくれている二人に向き直った。
背筋をピン、と張って自信を込めて言う。

「希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、私、そんなのは違うって何度でも言い返せる。
きっと、いつまでも言い張れる・・・!」

「いーんじゃねぇの?」

あーん、と大きな口を開けて杏子がケーキを一口で食べた。
すぐに噛み砕いて飲み込んだので、美味しさを味わったのかは不明だ。

「やってみなきゃわかんないじゃん。
それに、やっと見つけたんだろ?アンタの願い事!
なら仕方ない、あとはもうとことん突っ走るしかないんだからさ!」

だろ?と言う杏子。
まどかは頬を緩ませて、「ありがとう」と返した。
願ったことに後悔はない。
取り消そうとも思わない。
まどかの目から、その強い意思は確かに伝わってきた。
マミとふじのは顔を見合わせる。

「なら、預かっていたものを返さないとね・・・」

「え?」

マミが取り出したのは一冊のノート。
その表紙には、可愛らしい魔法少女のイラストが描かれていた。

「えへへ・・・」

そういえば描いた記憶もあったな、とまどかはノートを腕に抱いた。

「まどかが希望を叶えるんじゃない。
まどか自身が希望になるんだ・・・」



私たち、全ての希望に











掴め、未来を


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