移行済・甘味拾
□奇跡も、魔法もあるんだよ
3ページ/3ページ
同時刻
見滝原市市立病院にて
眠っていた上条恭介は、ふいに目を覚ました。
何かの違和感を感じて、恭介はうっすらと目を開けて自分の腕を見た。
もう何も感じないはずの腕が、何かを感じている。
ビリッと弱い電流が走ったような感覚に似ている。
今まで動かなかった彼の指がもう一度動いた。
同時刻
見滝原市内のどこか物理的に高い場所にて
「いやぁ、まさか君が来るとはねぇ」
キュゥべえが大きな尻尾を振った。
一方、話している女の子はもぐもぐとクレープを頬張る。
最後の一口を堪能してから、女の子は口を開いた。
「こっちはマミがくたばったって聞いてわざわざ来てやったのに、話が違うじゃん?」
「悪いね、この土地には既にもう一人の魔法少女が居たんだよ。」
「ハァ?
何それ聞いてないんだけど・・・」
「彼女は他の魔法少女から隠れていたからね。
そしてついさっきもう一人、魔法少女が増えたよ。契約したばかりさ。」
「何それ?超ムカツク」
指に付着したクリームを舐めとり、女の子は「ま、いっか」と再び話し始める。
「こんな絶好の縄張り、臆病者とルーキーのヒヨっ子にくれてやるのもシャクだしねぇ」
「どうするんだい、杏子?」
キュゥべえは杏子と呼ばれる女の子を見上げる。
杏子は後ろで一つに結った赤い髪の毛を揺らして、口角を上げた。
「決まってんじゃん」
ブッ潰しちゃえばいいんでしょ?
その子たち
つづく