09/14の日記

21:08
P4(ネタバレ有)
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足立→主人公(来栖吾戯斗)のSSS



今回も彼等に邪魔され、行方不明者は無事帰還した。
別に誰がどうなろうと彼等のような学生が気にすることじゃないのに。
影響があるといえば僕のような刑事だ、街の1人が消えただけで総動員で捜索する。

「今日も見つかりませんでしたね」

「あぁ……ったく、何処行ったんだ?」

テレビの中ですよ。
なんて教えない、教えたって信じるわけがないしね。
まぁどうせ、また貴方の家の居候君が助けるんだろうけどさ。

「おッ、今日はもう上がりか…どうだ足立、今晩も家で食って行くか?」

何でも出来る奴だ。
そう自分の事のように自慢してくる堂島さんは、まるで菜々子ちゃんを自慢していた時のように輝いていた。

馬鹿らしい

そう思ったが口には出さない。
被っているものがバレちゃうからね。
でも彼に会うのかぁ…僕の唯一の楽しみを邪魔している憎くてムカつく奴に。

「じゃぁお言葉に甘えさせてもらいます♪」

しかし断る理由もなく内心で溜め息を吐きながら答える。
しかし、何故だろうか…もっと心の奥底では喜んでいる自分がいた。
確かに彼の料理は上手い、キャベツやコンビニ弁当暮らしの独身である僕には有り難い誘いである。
それに、彼の現状を見る事で多少なりの情報を得ることが出来るから。

なのに、日々通う事に罪悪感が生まれつつある僕。

僕はどうやら彼の料理に惚れてしまったようだ。
いや、料理だけではなく…全くの他人である僕にまで気遣い優しく微笑んでくれる彼に。

「お邪魔しま〜す、今日もご馳走になりにきました♪」

そう柔らかい表情でせっすれば、まるで家族のように微笑んでくれる。

「今日もお疲れ様です、上がって下さい」

エプロンをつけた彼が菜々子ちゃんと出迎えてくれて、料理を運んでくれる。
そして酔っ払った堂島さんや、眠たそうな菜々子ちゃんを寝かしつけてから他愛もない会話をして。

余計に罪悪感を膨れさせていく彼

僕のしたことを今の彼はどう受け止めるのだろうか

僕が山野アナと小西をテレビに落とした張本人だと知ったら、彼はどう反応するのだろうか

もう彼の料理も、この微笑みも暖かさも目にすることは出来なくなってしまう。

真っ白な僕に膨れ上がっていくのは罪悪感

でも、もう一人の僕に膨れ上がっていくのは彼等に対する苛立ちや憎悪。

「僕さ、君の事が好きみたい」

「………えッ?」

「最初は君の料理だったんだけどさ、日が経つにつれて君の事で頭が一杯になっていくんだ」

事件について
僕の暇つぶしを邪魔したことについて
君の優しさについて
どんな仕返しようか、とか
君はどうすれば僕だけを見てくれるのか、とか

矛盾だらけの独占欲

「返事は無理に聞かないよ、男に告白とかされたことないでしょ?嫌なら無視して…」

今、どちらの返事も聞きたくない。
今聞いてしまうと、君を滅茶苦茶にしてしまうから。

「あ、あのッ」

「ん?」

聞きたくない。
君を今壊してしまったら楽しみがなくなってしまうから。
僕の暇つぶしに唯一抗えるのは君等だけなんだからさ。

「あ、足立さんの事…き、らいじゃないです」

「でも好きでもない?」

「い、いえ…どちらかと言えば……そ、その…同性だと分かっているんですが……」


“好きです”


「…僕も、だよ」

その言葉は黒い僕を抑える鎖
今、君だけの前では罪悪感を背負う僕でいてあげる。

その言霊は、僕への戒め











end

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