REBORN!

□パニカミ。
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「パニカミ?」

俺は野球部のマネージャーにそう聞き返した。
「うん、パニックになるハニカミ!略してパニカミよ!みてこのサイト、なんかかわいいでしょ?」
女子マネは興奮気味にそういうと携帯を見せてきた。
「あー…まぁ、やったら照れるな(笑)」
「でしょでしょ?マンネリから脱するために是非ごくちゃんとプレイすべきよ!」
別にマンネリとかじゃ…
「ん、じゃあ今度あった時にでもやってみるぜ」
俺は腐女子マネに手を振ると部室を後にした。





「あっ、いたいた。ごーくーでーらーっ!ツナー」
並盛商店街を歩いていくと見慣れた二人組が目に入った。
「…あ゛ぁ?なんだようっせーな。今十代目は貴重なお時間で俺とお話してくださってるんだよ。邪魔すんじゃねぇ」
「いや別にお使い頼まれてるだけだから」
「お供しますっ!ほら山本はさっさと帰れ」

……二人だけでデートか?
なんか、うーん。


悔しいな。



「そうだ、パニカミ!うん、パニカミやろうぜ獄寺」
そう言えばさっきマネージャーがなんか音読してたな………
ふたりで一個のクレープをかってじゃんけんでかったほうから一口ずつたべてく、とかなんとか
「んだそりゃ」
「まぁまぁ、ちょっとつきあえって!」
俺は強引に獄寺の腕をひっぱり記憶にある目的地に向かう。
「え、あ、ちょ……失礼しますじゅーだいめぇ!いてーよ野球バカ」





野球バカにムリヤリつれてこられたのはファンシーなクレープ屋。 ったく、こんなとこで何すんだよ……
「なー何がいい?2人でひとつじゃないと意味ないんだけどな」
山本は展示用ディスプレイをキラッキラした瞳で見つめながら俺にいった。
「……なんでもいい。山本が選べば?」
ホント嬉しそうな顔してやがる。ったく単純な奴(笑)
「いいのか!?んじゃあ、っとな、あのイチゴとバナナとチョコと生クリームいっぱいのあれがいい!一番おいしそうだしなvV」
山本の指先をみるとなんと店内で一番見た目も中身ももちろん値段もゴーカなクレープがでーーんと偉そうにそこにあった。

「…山本おまえ今いくらもってんの?」
「ん───?」
山本は名残惜しそうにクレープから目を離すと制服のズボンのポケットを探った。

が、その中からでてきたのは銀色硬貨1枚とアルミ5枚。
「ひゃくごえん……ごめんこれ全財産だ」
これじゃムリだなー昨日ジャンプ買ったの忘れてた、と山本は最安でも400円台のクレープ達をあきらめようときたほうへ戻ろうとした。


悲しそうな顔しやがって絶倫め。
「すいません、ストロベリーバナナミルフィーユ生チョコスペシャル☆一つください!」

山本の驚いた顔が振り返った。

これで満足かこんにゃろー





「サンキュー獄寺!」
あれ実は店ん中で一番値の張るやつだったのな。850円だって(笑)
俺たちはまだ子供が遊んでいる公園の片隅にあるベンチに座っていた。

「…………」
「ずっと食ってみたかったんだよな♪んじゃあいっただっきまー」

かふっ

…!?
人目も気にせずに獄寺は俺の手に握られていたストロベリーバナナミルフィーユ生チョコスペシャル☆にかぶりついた。

ふだんなら、人前でこんなことしないのに。

「うぉ!?ごく…」
「黙れ!俺が買ったんだから俺のだ!」
獄寺は顔を耳まで真っ赤にしながらそういいきった。
あー、こんなにいっぱい食べやがって。2人で交互に食う回数減っちまうじゃねーか(笑)

「獄寺、口にチョコついてるぜ(笑)」
「!うっせ、だまれ絶倫め!よこせっ」
茹で蛸のごとく赤面した獄寺は俺の手からストロベリーバナナ(以下略)をひったくるとものっそい勢いでそれを食い始めた。
元気だなごくでらー
みるみるうちにクレープは腹の中へ消えてゆく。
あー、パニカミの夢が……
ま、いっか。獄寺の茹で蛸も見れたしな(笑)





「俺もそれくいてぇな〜」
山本はいつもの爽やかな笑みと残念そうな感じの混ざった顔を少し右に傾けると俺のクレープにかじりつこうとしてきやがった。
それを俺はだまってみてるわけもなく つい、とそれを右に傾けると最後の一口を自分の口内へ放り込んだ。

「あ!ずりぃ…」
「ふぁっ!早くたぶぇにゃいかららよやひぅばは!」(はっ!早く食べないからだよ野球バカ!)
「………」
「…?やまもと?」
返事がないので山本の方を振り返ってみるといまにも泣きそうな顔で俺を見つめr「?!!んがっ」
──ばふっ うちゅvV
「……ん…ちょぉ、イテ唇なん、か咬む、なっ!!オイてめここどこだと思ってんだコラはなせ!」
「ん〜〜…やだよ、俺の分のクレープだしな」
はぁ?意味分かんねえし、と心の中でつぶやきながらも俺は山本のなすがままだ。

……ふりはらえるわけがない






こんな真っ昼間じゃなかったらな!!
「やめんかィ!ほらガキがみてるぞ!」
「あぁ?や、でももう止まんね〜(笑)」
こうなったらもう止められないのも分かってる。分かってるけどさ
「あ゛ー!ったよ、どっか人目のつかないトコに…」
「んじゃウチくるか?親父もよろこぶぜっ♪」
「お…おぅ」


「パニカミ、結果オーライだよなvV」
「パニカミ?」
山本はいつもの笑みでこう答えた。



パニックになるハニカミ、と。

 

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