Dear you...
□第26話
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胸を抑えながら、うっすらと視界を開いた。
目に見えるのは、力なく倒れている兄さんの姿。
涙が、出そうになった。
「っ……ハァ………に……さんッ……」
声が小さい。まともに声が出ない。
不幸に不幸が重なった。
毎回毎回…苦痛だ。
もう、たくさんだ……
私は、苦しむのが怖い……
兄さんが死ぬかもしれないという未来が見えてコワい
だから、もう……
……………もう…いいよね?
私は目の前に落ちている鋭利なものを見つけてゆっくりと手を伸ばした。
ソレを掴むと、チクリ、血が流れていくのを感じた。
でも、痛くない……。
腕を引きずり、自分のそばに持っていくとソレを強く握りしめた。
大丈夫。
死は、怖くない
だって、あの人の所に行けるんだ……。
目を閉じ、うっすらと流れる涙が頬を伝う。
がしっ
「……っ」
「何を、しているんですか!!」
心臓の近くに移動していた手が、骸に止められてしまった。
目を開けて視線を移すと、五と表示されている片目。
「死ぬなんて、……許しませんからね!!」