赤髪の白雪姫

□CROSS ROAD 第六話
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セリスが城に来てから一ヵ月が過ぎた。
不審者からの謎のメモは一回きりで、嫌がらせやストーカー被害も無いままだ。

あれからセリスの同僚だったセーラも休職となったせいで仕事が忙しく、オビとセリスが二人きりで会えるようなことはなかった。
それでも白雪ともゼンともそうだが、どんなに遠くからでも毎日手をふり合うのが日課となっていた。

そんな、セリスが皆といるのが当たり前になってきた頃。
ゼンは仕事中のセリスを執務室に呼び出した。


「珍しいね、どうしたの?」

「伝えておかないといけないことがあってな」


とりあえずソファに掛けてくれと言いつつ、ゼンは今から言うことを渋っていた。


「言いにくそうだね、私何かしちゃった?」

「いや……明日から四日間、皆で城を空けることとなった」


ゼンだけならまだしも、ミツヒデ、木々、オビ、白雪も同行する。
自分達がいないと、セリスに何かあったときに守ってあげられる人がいない。


「本当は一人だけでも置いていきたいのだが……すまない」

「謝ることじゃないよ。私一人でも大丈夫だよ、ゼン」

「……知らないわけじゃないだろう、不審者からの被害が多発していること」

「先週も休職者増えたから、他人事じゃないとは思っているよ」


セリスは一回だけ謎のメモを受け取ったことは隠したままだが、それ以来毎日次はいつ来るのかと内心怯えていた。
ゼンはやはりセリス一人残すのは危険だと、もう変えられない決定事項に対して本気で悩んでいた。


「ゼン、もう決まったことなんだからちゃんと受け入れよう?」

「だがしかし何かあってからでは遅すぎる」

「少しは信用してくれないかな?私ってそんなに頼りない?」

「そんなことは……!」

「ゼーン」


いつまでも平行線を辿っている二人に、助け船を出してくれたのはミツヒデだった。


「気持ちは分かるが、今更あーだこーだ言ったって何も変わらないだろう?俺達ができるのは早めに片付けて早く帰ってくること、それだけだ」

「……すまないセリス。何かあったら門番に伝えれば対応してくれるように話をつけておく」

「ありがとうゼン、ミツヒデさん。じゃあ仕事戻るね」


セリスは執務室のドアを閉じる前に、もう一度振り返った。


「みんな無事に帰って来られるように、頑張ってね」

「ああ、約束する」


扉がパタンと閉まると、ゼンは大きな溜め息をついた。


「心配だ……」

「でも一番心配しているのはきっとオビだよな」

「だな」


ミツヒデとゼンは、重い腰をあげて明日の準備に取りかかった。



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