赤髪の白雪姫

□CROSS ROAD 第五話
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すっごく甘い夢を見た気がする。
オビの膝の上で、全て忘れて気持ち良さそうに寝る私――

ずっと覚めなきゃいいのに、何て思っていたら目が覚めてしまった。
ここはどこだろう……少なくとも自分の部屋でもなければ酒場でもない。
そうだ、私は酒場にいたはず。
仕事のストレスと謎のメモのことを忘れたくて、お酒の力を借りて……。

断片的にしか思い出せないけど、私はとんでもない行動をオビにしてしまったんだった……!
さっきのだって夢じゃない、現実。

ガバッと起きたら頭がぐらぐらしたけれど、それどころじゃない。
辺りを見渡すとソファで寝ているオビがいた。
っていうことは、ここはオビの部屋。


「もー、どうしよう……!」


思わず一人言が出てきてしまうくらい、私はパニック状態で。
オビに謝らないといけないけれど、醜態をさらしすぎたせいでまともに顔を合わせられない。
今何時なんだろう、とりあえずオビにブランケットをかけてあげようと思ってそっと近づいた。


「良かった、起きれたんだ。おそよーセリス」

「……!」


まさか起きているとは思っていなかった私は、びっくりして後ずさった。


「もう昼過ぎているし、ブランケットかけられちゃ困るな」

「え……私そんなに寝てたの!?」

「ぐっすりだったねえ。まあ起こさなかったっていうのもあるけど」


戻っておいでと手招きするオビに、私はハッとして、その場で土下座をした。


「ご、ごめんなさい……!許してもらえるなんて思ってないけど、本当に軽卒すぎる行動をとってしまって、挙げ句の果てにベッドまで占領しちゃって……」

「セリス、落ち着いて。謝るのはいいからこっちおいで」

「嫌、もう顔も上げられない……!何より自分自身が許せない」


オビには他に好きな人がいるのに、好きでもない女にキスされて、抱きつかれて、身体預けられて、どんなに辛かったんだろう。


「微塵も怒ってないし、ベッドは俺も隣で寝てたんだよ」

「え!?」

「あ、顔上げてくれた」


いつの間にかオビの方から来てくれて、顔を上げたらぽんぽんと頭を撫でられた。


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