赤髪の白雪姫

□CROSS ROAD 第一話
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「オビはさっきから何を読んでいるんだ?」

「お、ミツヒデの旦那も気になりますか?でも残念ながら旦那が想像しているような代物じゃなくて、城下町の地域雑誌ですよ」

「何だと思われているんだよ……」


うららかなとある一日。
執務室は比較的落ち着いた空気に包まれ、白雪も休憩と題していつものメンバーでティータイムを楽しんでいた。


「そんなのあるんだね。何か面白いこと載ってる?」

「俺が今注目してる子なら」

「え、オビの好みの女性?どれどれ見せて!」

「そう言われると気になるな、オビの好みのタイプ」

「おお、主も俺に興味もってくれましたか!」

「その言い方は気持ち悪いからやめろ」


オビは木から下りて白雪に見ていた雑誌をそのまま渡すと、白雪のまわりにゼン、ミツヒデも集まり、木々は少し離れたところで興味がなさそうに紅茶のおかわりを注ぎ始めた。
雑誌が開かれたページには、栗色の髪を束ねている看護師と思われる女性のインタビューが、4ページに渡り掲載されている。


「お、オビって理想高い……?すっごくかわいい人だね。あ、年上だ」

「なんだ、セリスじゃないか」

「え、ゼンこの人と知り合い??」

「主も知っていましたかー、残念」

「何がどう残念なんだ。彼女は城下町の中央病院で働いている看護師だ。色んな意味で、よく世話になっている」


ゼンは城を抜け出しているとき、たまにセリスにかくまってもらっている。
さすがに病院にいるとは思わないのだろう、木々もミツヒデでさえ、そのことはまだ知らない。


「凄いな、こんなにがっつり紹介されてるのか」

「この一生懸命さがまた良いんだよね」

「あれ、もしかしてオビも会ったことあるの?」

「1回だけ、病院でお世話になったことがあるんでね。こんなに掲載されて嬉しいは嬉しいけど、高嶺の花になっちゃったと思うと淋しいもんだねぇ」


オビは胃薬を処方してもらうために病院に行ったのだが、セリスが手のひらや指の傷に気付いて、強制的に手当てしてもらった経緯があった。


「オビのこういう話、初めて聞いたし新鮮」

「ははは、それはどうも」

「あれ、ゼン難しい顔してどうしたの?」


ゼンはあることを言うべきか言わないべきか悩んでいた。
今言って反応を見るのも面白いが、来たときにドッキリを仕掛けるのも楽しいと思う。


「いや……何でも、ない」

「何でもなくなさそうだが?どこか痛むか?」

「ミツヒデは心配しすぎ。ゼン、時間だよ」

「さて、仕事に戻るぞ……お、来たか」



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