戦国上等
□初陣
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見えない相手へと踏み込み、横に薙いだ。そのまま残った足で足下を蹴り、見えない刀をかわす。
最後に突然割り込んできた刀を打ち払った。
「何だ・・・。」
「随分気合いが入ってるじゃねぇか。」
邪魔に入った政宗を柚麻はじとり、と睨んだ。
「別に。ただ落ち着かないだけ。」
「お前がか?」
「どういう意味?」
心底驚いた顔をする政宗を鞘に収めた龍刀で小突く。
「私だって・・・怖いものは怖いさ。」
微かに震える手を確かめるように握りしめた。
ゲームや小説ではあれほど容易かったはずなのに、この目で人が死ぬのを見て、この手で人を殺す、それが怖い。
「Are you ok?」
「・・・あぁ。」
複雑な思いを胸に落とし、そっと笑った。
「明日は早ぇ。もう寝ろ。」
「・・・そうだな。」
刻限はゆっくりと、それでも着実に近づいてきている。
目を閉じれば真っ赤な血の錯覚が起きた気がした。
「柚麻」
「ん?」
「やめとくか?」
「・・・は?」
虚を突かれ、顔を上げると、真剣な目を向けられていた。
「・・・っく・・」
「?」
「バカ言わないでくれ。お前が言うと・・あははは」
「Wait!笑うトコじゃないだろ!!」
「・・・おっと。」
それもそうだ、と柚麻は笑うのをやめた。
「この通り、大丈夫だ。」
「・・・そうか。」
「・・・Thank you」
柚麻は軽く手を振った。
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