戦国上等

□初陣
1ページ/7ページ


見えない相手へと踏み込み、横に薙いだ。そのまま残った足で足下を蹴り、見えない刀をかわす。

最後に突然割り込んできた刀を打ち払った。




「何だ・・・。」

「随分気合いが入ってるじゃねぇか。」




邪魔に入った政宗を柚麻はじとり、と睨んだ。




「別に。ただ落ち着かないだけ。」

「お前がか?」

「どういう意味?」




心底驚いた顔をする政宗を鞘に収めた龍刀で小突く。




「私だって・・・怖いものは怖いさ。」




微かに震える手を確かめるように握りしめた。

ゲームや小説ではあれほど容易かったはずなのに、この目で人が死ぬのを見て、この手で人を殺す、それが怖い。




「Are you ok?」

「・・・あぁ。」




複雑な思いを胸に落とし、そっと笑った。




「明日は早ぇ。もう寝ろ。」

「・・・そうだな。」




刻限はゆっくりと、それでも着実に近づいてきている。

目を閉じれば真っ赤な血の錯覚が起きた気がした。




「柚麻」

「ん?」

「やめとくか?」

「・・・は?」




虚を突かれ、顔を上げると、真剣な目を向けられていた。




「・・・っく・・」

「?」

「バカ言わないでくれ。お前が言うと・・あははは」

「Wait!笑うトコじゃないだろ!!」

「・・・おっと。」




それもそうだ、と柚麻は笑うのをやめた。




「この通り、大丈夫だ。」

「・・・そうか。」

「・・・Thank you」




柚麻は軽く手を振った。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ